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2024.04.25

#notopeninsula 日常と非日常の境 被災した状況が当たり前になる違和感 | Focus #102

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cover image by Jang Kumi

能登半島地震による被害は爪痕を残し続けています。被災地域のインフラや建造物の修復、被災者の支援、心のケアなど、さまざまな面での支援が必要です。政府や地域の自治体、ボランティア団体などが協力して復興に取り組んでいますが、能登再建というにはまだまだ遠い現状になります。

共に歩み続ける

写真の力を信じるcizucuだからこそ、震災を風化させず、再び能登の地へ足を運んでもらうきっかけを作りたいという思いから、復興への道のりを継続的に発信していきます。
今回のマガジンでも、能登の魅力を発信し続けてくださっているJang Kumiさんのお写真を、許可を得てご紹介させていただきます。震災から4ヶ月目の今、能登の現状についてお聞きしました。

不便さがあたりまえになりつつある違和感

倒壊家屋の公費解体が一部開始されていますが、瓦礫の撤去が完了しているケースはごく少数。輪島市では、順番が回ってくるのが秋頃になると言われた世帯もあるそうです。公費解体を待たずして、民間ボランティアの力を借りて撤去した人もいるとのこと。

「多くの倒壊家屋や瓦礫が、未だそのまま放置されている状態です。他の地域の人から見たらひどい光景に変わりないと思いますが…なんとも思わなくなってきた感覚もあって。悲しいけれど、被災した風景が当たり前の光景になりつつあります。」

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Image by Jang Kumi

奥能登2市2町の中でも、特に珠洲市は未だ水道本管の復旧が追いついていない状況です。住民からは「もう水道は期待しないことにした」「期待していると、その分落ち込みが深くなるから」という声も上がっているそうです。

炊き出しや支援物資の配布、避難所の運営などは縮小傾向にあります。これは、状況が好転してきたからではなく、能登の経済を回すため、もしくは避難所の負担を減らす目的で行われているものです。

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Image by Jang Kumi

 「仮設住宅も全体には行き届いていない状態です。そのため避難所を出て、半壊・中規模半壊の判定を受けた自宅に戻る人もいます。車中泊にまた戻ったという人も何件か聞きました。」

苦労をしないでご飯を食べれるということ

ライフラインが不安定な被災地ではご飯を作るのにも一苦労だと、Jang Kumiさんは語ります。お皿を洗うのにも、調理をするのにも、バケツから水を汲んできてガスでお湯を沸かす生活。そんな中、あるNPOが行った炊き出しの支援が、Jang Kumiさんの印象に残っているそうです。

「ご飯を取りに行くと『お疲れ様です』って毎日笑顔で挨拶してくれて、その日あったことを明るく話してくれるのが嬉しかったです。それに、あったかいご飯を不自由なくちゃんと食べられることが感激でした。」

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Image by Jang Kumi

「苦労なくご飯が食べられる安心感を噛み締めた」というJang Kumiさん。少しずつではありますが、能登で営業を再開した飲食店も出てきているそうです。

「この前は、お寿司屋さんに行ってきました。店主が喋りながら寿司を握って、店の中でついてるテレビ見ながらお酒を飲む。地震が起こる前みたいに、『街の中で過ごせた』という実感を久しぶりに持つことができました。」

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Image by Jang Kumi

家の片付けをしながら玄関先でおせちを食べたというお正月。「おせちはこんな風に食べるものじゃない」というやるせなさを感じていたと、Jang Kumiさんは言います。しかし今では、スーパーを時短で営業するなど、能登の人々は一歩ずつ前に進みつづける気概で奮闘しているのです。

自立した未来をめざして、能登半島支援のお願い

「自分たちの力で生活をできるようになることが復興の第1歩だと思う」と語るJang Kumiさん。しかし、ボランティアの数が圧倒的に足りない現状から、その未来を実現するための道なりは非常に困難なものになっています。

「私は、能登町の海や風景を撮りたくて1年前にカメラをはじました。でも震災の影響で、海の姿がガラッと変わってしまっていて…。今では近くに足を運ぶことすら、気が引けてしまいます。」

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Image by Jang Kumi

一時「能登でボランティアを募集していない」という噂が浮上していましたが、これは不正確な情報だと主張する記事があります。ボランティアが集まらない理由には、こういった事実と乖離している認知も挙げられるでしょう。助けを求める声が正確に届かないことも、地震による被害の一つと言えます。

参考記事は、以下からご確認ください。

「どうか、本当に助けてください。ボランティアの方法は、県のボランティアや民間ボランティアなどいろんな道があります。能登の素晴らしい風景を取り戻すために、どうにか再建したいんです。」

ボランティアをご検討の方は、ボランティア特設サイトなどをご確認ください。

#notopeninsula

私たちcizucuは、皆さんのクリエイティブな力を借りたいと考えています。能登半島の美しい文化や自然、そして直面している課題に光を当てるための取り組みです。能登半島で撮影した写真をハッシュタグ〈#notopeninsula〉を付けて、能登半島で撮影した写真とメッセージをシェアしてください。皆さんの小さな気持ちと支援で、能登半島の復興を一緒に目指しましょう。

最後に、取材へのご協力頂いたJang Kumiさまへの感謝と共に、被災者の安全と迅速な復興を心から願います。
(本インタビューは、2024年4月2日に行われたものです)

INFORMATION
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Jang Kumi

石川県輪島市出身・能登町在住。 能登半島の自然と祭と花をこよなく愛します。

Instagram:oknt_photograph
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HP:OKUNOTO PHOTOGRAPH