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2024.04.22

#notopeninsula 復興に向けて前に進む人々 | Focus #98

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cover image by Jang Kumi

能登半島地震からの復興に向けて、私たちが今するべきことは何か。被害を受けた地域を地震が起きる前の姿に近づけても、時が戻るわけではありません。完璧な「これまで通り」に戻るのは不可能だからこそ、次なる一歩をどこに踏み出していくかを思考し続ける必要があります。復興の道のりは容易ではないからこそ、それぞれができることを精一杯支援していくことが大切なのだと信じています。

共に歩み続ける

写真の力を信じるcizucuだからこそ、震災を風化させず、再び能登の地へ足を運んでもらうきっかけを作りたいという想いから、復興への道のりを継続的に発信し続けます。
今回も能登の魅力を発信し続けているJang Kumiさんへのインタビューと、彼女の能登を写した作品を掲載しながら、復興に向けての取り組みをご紹介します。

能登を切り取る写真と、祭り太鼓の帰郷

「#notopeninsula 能登地震から2ヶ月、地震後の軌跡 | Focus #45」で紹介したチャリティー写真展が、新潟県柏崎市にて開催されました。

本展には、Jang Kumiさんの知人でもあるMinobu Matakiさんが運営メンバーとして参加されていました。写真展では、被災前後の白丸地区の姿を写した写真とともに、石川から新潟へ漂着した和太鼓の展示も行われたそうです。

震災時、能登町白丸地区には4.5メートルの津波が到達しました。その津波によって、地区のお祭りの太鼓が流され、漂着した先が新潟県柏崎市だったのです。同じ奥能登の住民として、Jang Kumiさんは以下のように語ります。

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Image by Jang Kumi

「能登は、7月の第1週から9月の終わりぐらいまで、毎週どこかで地区ごとの祭りがあるような場所なんです。だからこそ、町の人たちの祭りにかける思いはすごく強いはず。その祭りの太鼓が流れ出たことは非常にショックなことだったと思いますが、遠い新潟県で太鼓が見つかったことにとても驚きました。」

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Image by Jang Kumi

写真展実施後、太鼓は無事に白丸地区の住人に引き渡されました。会場まで太鼓を引き取りに来た白丸地区の住人は、涙を浮かべながら感謝を伝えたとのことです。

「太鼓が見つかって本当に良かったです。どんな形であれ太鼓が見つかったことは、白丸地区の方々にとってすごく心強かったと思うんです。みんな祭りを愛する気持ちが、心の根幹にはあると思うので。」

祭りの灯火を決して絶やさない

震災により能登各地の祭りが開催を断念する中、Jang Kumiさんの住む宇出津地区では、祭礼「あばれ祭」を開催する方針を出しているとのこと。毎年7月第1金・土曜に、能登のキリコ祭りの皮切りとして開催されていたお祭りです。

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Image by Jang Kumi

「賛否両論あるとは思いますが、私は『あばれ祭』の開催を支持しています。350年続くこの祭りの灯火を絶やしたくないという想いもありますし、祭に関わる事業者の存続が危ぶまれている中、その方々をなんとか守りたいという気持ちが強いです。ぜひ、ご支援をお願いいたします。」

下記のサイトより詳細をご確認ください。

ただの復興ではなく、能登らしい「復興」

災害に備えたまちがすべて通り一辺倒な風景になってしまうことは、日本の文化資源の損失でもあります。現在各地で、「能登らしい復興とは何か」を問うワークショップが開かれ始めています。

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Image by Jang Kumi

「過去の被災地を悪く言うつもりはありませんが、大きくて高い堤防や海を固めるコンクリートにまみれた町には、絶対になってほしくないなって思います。でも、どうしたら『災害に強い』と『景観が守られている』を両立したまちづくりができるのかは分かりません。ですが、それを望む住人も多い気がするんです。」

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Image by Jang Kumi

かつての能登を惜しむ気持ちを訴えながらも、Jang Kumiさんは、「全てが元通りになる必要はない。」と語ります。

「賛否が分かれる話題ではありますが、個人的には、町の存続・発展に必要なものを取捨選択していく必要があるのかなと思っています。今までここで生業をしてた人たちが、住み続けられる町づくりが最優先なんじゃないかなと…。難しい話なので、今後も勉強していきたいことです。」

ボランティアをご検討の方は、ボランティア特設サイトなどをご確認ください。

#notopeninsula

私たちcizucuは、皆さんのクリエイティブな力を借りたいと考えています。能登半島の美しい文化や自然、そして直面している課題に光を当てるための取り組みです。能登半島で撮影した写真をハッシュタグ〈#notopeninsula〉を付けて、能登半島で撮影した写真とメッセージをシェアしてください。皆さんの小さな気持ちと支援で、能登半島の復興を一緒に目指しましょう。

最後に、取材へのご協力頂いたJang Kumiさまへの感謝と共に、被災者の安全と迅速な復興を心から願います。
(本インタビューは、2024年4月2日に行われたものです)

INFORMATION
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Jang Kumi

石川県輪島市出身・能登町在住。 能登半島の自然と祭と花をこよなく愛します。

Instagram:oknt_photograph
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HP:OKUNOTO PHOTOGRAPH