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2024.01.12

そっと触れる距離 | 写真作家・うたうみ | ISSUE #21

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世界中のクリエイターの感性や思考を深掘りする『ISSUE』。新たなインスピレーションのきっかけに。『ISSUE #21』では、岡山を拠点にウェディングフォトグラファー、写真作家として活躍されているうたうみさん。そんな彼女の自然のそばにある暮らしを大事に、人々の思いに寄り添う写真活動の物語を届けています。

瀬戸内の穏やかな海に惹かれ、岡山を新たな拠点として選んだうたうみさん。彼女は〈Lovegraph〉で人気のフォトグラファーであり、写真作家としてもその才能を発揮しています。彼女の手による写真や言葉は、自然な流れで一つの物語を紡ぎ出し、私たちに心地よい温度で寄り添います。

写真の世界へ踏み入れた一歩

うたうみさんは大学1年生の時にカメラを手にし、写真の世界へ足を踏み入れました。カメラマンの父親の影響で、早いうちから現場のアシスタントを経験したり、写真好きのイベントなどに参加しているうちに、カメラマンの仕事を志すようになります。そして、その年の冬から出張撮影サービスの〈Lovegraph〉を通して家族写真やウェディング撮影を中心に活動し、撮影の技術とセンスを磨き上げてきました。

そんな彼女は〈Lovegraph〉のプロフィールを作成するとき、カメラマンネームとして「うたうみ」と登録したことをきっかけに、今も活動しています。昔から歌うのが好きで、「歌うみう(本名が美羽という)」から名前を取ったそうです。後付けですが海も好きになったりと、優しいカメラマンネームから、彼女の好きが詰まった暖かさを感じます。

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🄫うたうみ|デビュー仕立ての頃に撮影したカップルフォト

「初めてのウェディング撮影、忘れられないですね」と彼女は微笑みながら語ります。緊張で手が震え、ただ撮影を無事に終わらせることで精一杯だったあの日。しかし、3年以上フォトグラファー活動を続けていく中で、徐々に形式的に美しい写真を撮るだけではなく、撮影される人々の感情やストーリーに深く寄り添いたいという気持ちが強くなっていきました。

「心のぬくもりにそっと触れるように」

うたうみさんが写真に込める「心のぬくもりにそっと触れるように」という言葉は、彼女の写真が単なるビジュアル以上のものを表現していることを示しています。
通常は撮影するゲストさんは、撮影当日に初めてお会いする方々。撮影をきっかけに出会った方々の個々の物語に触れることが、撮影のインスピレーションを豊かにしてくれるそうです。

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©︎ うたうみ
撮影したウェディングフォト

「撮影中、結婚を決めた相手と改めて見つめ合ったり、家族と手を繋いだり、感謝を伝えるというように、少し照れくさいこともご提案することがあります。そこで触れる心のあたたかさや幸せな記憶が、形に残るように撮影したいと思っています。」と彼女は語ります。

彼らのことを完全に理解することはできないけれど、それでも、誰しも持っている家族への愛情や想いを写真で表現したい。その表現を通して「それぞれの中にある心のぬくもりに触れてもらえるように」という想いを込めて撮影をしています。

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©︎ うたうみ
撮影したウェディングフォト

うたうみさんの写真は、何かを主張するようなものではなく、そっと寄り添うような距離感と、その余白に込められた感情的な深みが特徴です。 「ただ美しい写真を撮ることではなく、被写体の内面に潜む感情や物語を繊細に描き出したい」と言う彼女の写真は、見る人々にも物語の感情を想像させます。

岡山で感じた自然・人・時間のぬくもりを作品へ

うたうみさんは、岡山での暮らしをはじめてもうすぐ2年が経ちます。岡山の豊かな自然と穏やかな生活は、フォトグラファーとしての仕事に限らず、写真展を開催するなど、写真家としての活動にも新たなインスピレーションをもたらしました。

「岡山への移住は、私の人生に新しい風を吹き込んでくれた」とうたうみさんは語ります。その落ち着いた暮らしと、都会とは異なる自然の美しさに「自分から生み出す表現で、生活が続いていく」という予感が得られたのも、岡山という土地と出会ってのこと。

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©︎ うたうみ
岡山の海

「岡山の自然は、人の悩みなどお構いなしに、淡々と季節を巡らせ、朝と夜を繰り返し、そのときどきの美しい風景を見せる。ただそこにあるものを、ありのまま愛しむということを教えてくれる。」と彼女は言います。そんな岡山の自然や、そこでうまれる感情が、彼女の写真に独特の色彩を加えています。

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©︎ うたうみ
夕日

写真作家としての未来に向けて、うたうみさんは「これから先自分がどうなるかわからない。けれどそれが楽しみです。」と語ります。好きな空間や場所で好きなことを、好きな人と共有する。そんなささやかなことを続けていく先で、関わる人々にあたたかい気持ちを届けられたら嬉しいし、その中でどんな写真や表現がうまれるのか楽しみだと言います。

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©︎ うたうみ
暮らしのそばにある写真

また、今後はその表現活動として、写真だけでなく言葉にも落とし込み、作品集などの形にしていきたいとのこと。岡山の穏やかな海辺で、うたうみさんが捉える一瞬一瞬の静かな語りを、これからも見届けていきたい。

INFORMATION
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うたうみ

1999年生まれ。山口県出身、瀬戸内の穏やかな海に心惹かれ、岡山へ移住。自然のそばにある暮らしを大切にしながら人の思いと日々に寄り添う写真を撮影。好きなことは、海で裸足になることと、おいしいものをおいしく食べること。
Instagram:@utau_mi
HP:https://utaumi-photo.com/