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Read Your Photography | 霜の山頂で見つけた光 | Focus #678

By cizucu · 2026年5月31日

連載『Read Your Photography』
Read Your Photography | 霜の山頂で見つけた光 | Focus #678

Cover photo by 熊寶

Read Your Photography | 霜の山頂で見つけた光 | Focus #678

Cover photo by 熊寶

『Read Your Photography』では、ただ見るだけでは出会えない、写真の裏側にある“物語”に目を向けます。cizucuが主催する〈photo poster project〉や、SNSを通じて集まった作品とともに、その一枚が生まれた背景やその人だけの時間を、cizucuマガジンが12言語に翻訳し、世界中へ届けます。

物語を心にしまっておくのもひとつの選択。けれど、その想いは誰かの心に静かに触れ、まだ見ぬ感動を生むかもしれません。

今回ご紹介するのは、世界中から集まった5名の作品です。
それでは、唯一無二の物語を、そっと覗いてみましょう。

AinokazeKureha’s Story

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Photo by AinokazeKureha

AinokazeKureha

📷 NORITSUKOKI EZ Controller
📚 01

チベット文化は、その独特で神秘的な魅力によって世界に知られており、高原の環境、深い宗教的信仰、そして古くからの伝統が融合し、捉えがたいながらも人々を強く惹きつけます。

この写真は、現地の民族文化を記録する旅の中で撮影されたもので、カンバ・チベット地域、標高3000メートル以上に位置する雅江の夏季牧場で撮影しました。

伝統的なチベットの衣装(チュバ)を身にまとった年配の方が、自宅の門前で作業の合間に休んでいる際、見慣れないカメラに向けて、誠実で控えめな微笑みを見せてくれました。そこには、素朴で親しみやすく、温かみのある雰囲気が写っています。

cizucu編集部
高原の澄んだ空気のなかで、暮らしと信仰が静かに重なり合う気配が伝わってきます。伝統衣装チュバをまとい、作業の合間にふと見せた控えめな微笑み。それは旅人に向けた歓迎というより、この土地の時間そのものの優しさのようです。背景にある厳しい環境と長い歴史を思うほど、この一瞬の温もりがいっそう輝くように思いました。

熊寶’s Story

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Photo by 熊寶

熊寶

📚 02

この写真は、私が大涼山を旅していた途中に撮影したものです。その日は気温がとても低く、湿度も高く、寒さは単なる冷たさではなく、衣服を通り抜けて何層にもわたって皮膚の中へ入り込んでくるような感覚でした。道中、私たちは霜に覆われた山をいくつも越え、最後にそのうちの一つの山頂で、一軒の家に出会いました。

周囲1キロほどにはほとんど他の住居は見当たらず、その家にはおよそ五歳ほどの姉弟だけが残されていました。彼らは、大人たちは皆、牛や羊を売るために市場へ行っていると話し、自分たちだけで家にいるのだと言いました。家の中には明かりはなく、床は冷たく粗いコンクリートでした。
私はブーツを履いていても足の指が凍りそうに感じましたが、彼らは裸足のまま、霜の降りた床の上を行き来しており、まるでそれが当たり前であるかのようでした。鼻水は鼻先にぶら下がり、乾いては濡れ、濡れては乾き、その冬の最も率直な痕跡となっていました。

普段家で何をしているのかと尋ねると、彼らはごく自然に「厚紙をかじって遊ぶ」と答えました。そして実際に紙板を手に取り、何口もかじって見せました。その瞬間、私は胸が締めつけられる思いでした。しかしそのとき、ちょうど一筋の光が子どもの顔に差し込み、彼は笑いました。それはまるで、目の前の困難によって自分を定義されていないかのような笑顔でした。

その光があったからこそ、シャッターを切った瞬間、私が見ていたのは単なる貧しさや寒さではなく、もっと強靭な何かでした。ほとんど過酷とも言える環境の中でも、命はなお笑い声を保ち、さらには輝く力さえ持ち続けているのだと。

この写真が私にとって重要なのは、単に遠い土地の冬を記録しているからではありません。それは、ある人々が多くを持たなくとも、なお最も本能的で、最も真実な形で世界に応えているということを思い出させてくれるからです。あの日、私が感じたのは単なる同情でも、外から眺めるような衝撃でもなく、とても深い敬意でした。

私にとってこの写真が写しているのは、苦しさではなくしなやかな強さであり、不足ではなく、その不足の中にも確かに存在する光なのです。

cizucu編集部
凍てつく空気と暗い室内、霜の降りた床を裸足で行き来する小さな足。その厳しさに胸が締めつけられる一方で、差し込んだ一筋の光に照らされて浮かぶ笑顔は、環境の過酷さだけでは測れない「生」の強さを教えてくれます。厚紙をかじる遊びさえも日々の知恵であり、今日を生きるための軽やかな工夫。この作品は同情を誘うためではなく、持たないからこそ失われない輝きと、しなやかな尊厳をまっすぐに写しています。

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Photo by Jh.wu719

Jh.wu719

📷 SONY ILCE-7CM2
📚 03

ある日、家族と早起きして電車に乗ったのは、由布院の川沿いに続く桜並木を歩きながら、あの清らかな自然の空気を感じるためだった。由布院に到着し、川沿いを歩いていると、目の前に広がったこの光景が一瞬で私の心を引きつけた。

この景色は、外国人が思い描く日本の典型的なイメージを映し出していると同時に、私にとってはとても見慣れた風景でもあった。私はほとんど考える間もなくカメラを手に取り、この景色を記録した。その瞬間、胸の中には感動が満ちていた。

後になってこの写真を見返すと、もしもう少し遅れていたら、この光と影には出会えなかったかもしれないと強く感じる。同じ場所であっても、次にまったく同じ瞬間を捉えられるとは限らない。

「今をつかまえなければ、もう二度と戻らない」

それが、私が写真を通して最も強く実感していることだ。
この一瞬を記録できたことを、心からよかったと思っている。

cizucu編集部
桜が満ちる川沿いに、ふいに現れた人力車の気配。見慣れたはずの春の風景が、光の角度ひとつでまったく新しい日本へと立ち上がる瞬間が写っています。旅先で心が動いたスピードのまま、迷いなくシャッターを切った感覚まで伝わってくるよう。季節も光も、人も同じ形では二度と巡ってこない。だからこそ、この一枚は“今”の尊さを静かに証明しています。

qbalfe’s Story

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Photo by qbalfe

qbalfe

📷 RICOH GR
📚 04

「勇脚伯」は敬虔な信徒で、媽祖に従って徒歩での進香を20年以上続けている。両足はすでに変形し、動きも遅くなっているが、それでも徒歩での進香を最後まで歩き通している。写真は、萬華青山王祭の遶境で、敬虔な「勇脚伯」に出会った場面である。

cizucu編集部
祈りを「続ける」ことの強さが、静かに胸へ届く一枚です。変形した足をかばいながら、それでも歩みを止めない背中は、信仰が日々の時間そのものになっていることを物語ります。祭りの熱気と群衆のざわめきの中で、ふと世界が遠のくような孤独と覚悟。その一瞬を逃さず捉えた眼差しに、こちらもまた思わず頭を垂れたくなります。

du’s Story

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Photo by du

du

📷 FUJIFILM X100V
📚 05

台湾の冬は、晴れることがあまりない。
雨が、長く降り続くことが多い。

生活のリズムは速く、ほとんどの時間は、ただ前に進んでいるだけ。
そんな状態に長くいると、だんだんと、自分がもともと持っていた感覚を忘れてしまう。
だから私は、二十年以上暮らしたあの場所(ベトナム)へ戻った。

少し立ち止まるために。そして、馴染みのある場所で、2026年最初の夏を迎えようと思った。
けれど夏が来ても、私は本当にそこに追いつけてはいなかった。

あの感覚をずっと覚えている。まるで、どこか少し後ろの方に留まっているような。
だから、彼女を窓辺に座らせた。光が、静かに差し込んでくる。

この写真は、そのときに撮ったものだ。

cizucu編集部
止まらずに進み続ける日々のリズムは、ときに「自分の感覚」を置き去りにしてしまいます。この写真にあるのは、取り戻そうとする意志ではなく、ただ光の来る方へ身を預ける静かな時間。窓辺に差すやわらかな明るさが、追いつけない季節や言葉にならない疲れまで、そっと抱きしめているようです。雨の多い冬を抜けてなお残る余韻が、沈黙ごと美しく写っています。

最後に

いかがだったでしょうか。

ビジュアルだけでは語りきれない魅力に、私たちは目を向けていきたい。『Read Your Photography』は、写真の奥にある想いや感情に目を向け、ひとつの物語として受け取るための企画です。

写っているのは、ほんの一瞬です。けれどその奥には、確かに流れ続けてきた時間と、言葉にならなかった感情があります。

どうか写真を読むように、そして頁をめくるように、味わってみてください。

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