
Cover photo by sho sato
はじめに
『Blurred Moments』は、cizucuが主宰する、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテスト。応募作品の中から優れた作品をキュレーションし、プラットフォームとしての新たな才能の発掘、そして、コミュニティとしての支援を目的としています。
今回のテーマは、〈ぶれ〉でした。
写真を撮るとき、多くの場合は“くっきりと写す”ことを目指します。
しかし、ピントが合わなかったり、被写体やカメラが動いてしまったりして生まれる“ぶれ”には、特別な魅力があります。
光が線になって流れ、色が混ざり合い、形がほどけていく。
その曖昧さは、記憶や感情の揺らぎ、時間の流れそのものを映し出します。
それでは、応募作品と受賞作品をご紹介いたします。
応募作品

Photo by 吉田 草風
吉田 草風
日が沈み夜の始まり
周りのビルや飲食店、オブジェクトの明かりが灯る
路上ライブが始まり昼間とは違う活気
目の前の大きな橋に明かりが灯り
観光船から花火が上がる
📷 FUJIFILM X-E4
cizucu編集部
砂浜に置かれた赤い文字と、その前を通り過ぎる人々。わずかな動きのブレが、夕暮れのざわめきと時間の流れを感じます。流れゆく日常と、そこに溶け込む一瞬の風景が重なり合う作品が素敵でした。

Photo by miko
miko
入水撮影
📷 FUJIFILM X100VI
cizucu編集部
水面に身をゆだねる人の姿が、柔らかくブレて溶け込んでいます。輪郭が曖昧になることで、夢と現実の境界のような不思議な静けさが生まれ、深い余韻を感じる作品です。

Photo by にっさん
にっさん
シャッタースピードを落とし、数百キロで駆けぬける機体を捉える
エンジンの逆噴射で巻き上がった雨がいいアクセントになった
📷 NIKON D5300
cizucu編集部
夜の滑走路を駆け抜ける飛行機。流れる光跡とともに写し出されたブレが、スピード感を鮮やかに描き出しています。動きそのものを写し込んだ迫力ある作品です。
受賞作品

Photo by R°
R°
Water surface
📷 SONY α7 IV
cizucu編集部
水面に映る光の模様が、ブレによって揺らぎ、絵画のような抽象的な表情を見せています。偶然の揺れがつくり出すリズムは、水の持つ自由さや儚さを感じます。その一瞬を切り取ったからこそ見えた、自然の美しさを感じられる一枚が素敵です。

Photo by sho sato
sho sato
姿
📷 Canon EOS Kiss X7
cizucu編集部
人の輪郭が溶けるようにブレたモノクロの肖像。顔も姿もはっきりしない中に、感情や記憶の曖昧さが浮かび上がります。見る人それぞれの内面を映すような、静かな力を秘めた作品が素敵です。
最後に
いかがでしたでしょうか。
〈ぶれ〉をテーマに寄せられた作品は、日常の中に潜む曖昧さや時間の流れを、美しく映し出していました。
街の灯りと人の動きが重なった夕景、水面に溶け込む身体、飛行機の疾走を描く光跡など、どれもピントの合った写真では決して見えない表情が表現されていました。偶然と必然が交差する「ぶれ」の表現は、写真の新たな可能性を感じることができました。
見えすぎないからこそ伝わるものがある。次のテーマでも、皆さまの新しい一瞬に出会えることを楽しみにしています。