
Cover photo by tavito_works
はじめに
『In Search of Panorama』は、cizucuが主宰する、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテスト。応募作品の中から優れた作品をキュレーションし、プラットフォームとしての新たな才能の発掘、そして、コミュニティとしての支援を目的としています。
今回のテーマは、〈見晴らしの良い光景〉でした。
広がる視界は、心をそっと解きほぐし、風が頬を撫でるたび、 沈んだ想いは静かに浮かび上がり、広がる空は思索の旅へと誘います。
遥か彼方へ続く地平線、空と大地が溶け合う瞬間、高みから見下ろす広大な景色。
それらはただの風景に留まらず、あなたの心の故郷へと連れ出してくれます。
あなたの視点で捉えた風景は、光と影によって織りなされ、揺れる葉影も、澄み渡る空も、静かに視界を満たし、その一瞬が他者の心に新たな広がりをもたらすかもしれません。
それでは、応募作品と受賞作品をご紹介いたします。
応募作品

Photo by raven gabriel
raven gabriel
📷 RICOH GR III HDF
cizucu編集部
遠くから眺める山小屋の佇まいに、人の営みと自然との距離感が見えてきます。自然の雄大さの中にぽつんと佇む赤い建物が、まるで遠い記憶の断片のようで、「ここに帰ってきた」という不思議な安堵を感じさせてくれました。

Photo by saciiiko
saciiiko
cizucu編集部
風の存在が、”見える”ような風景です。整然と並ぶ風車が、空と大地の中にリズムを刻みながら、静かに回り続けるその様子に、人と自然の関わりが、調和のひとつのかたちとして映ってきました。広がりの中に、秩序と祈りのようなものが感じられました。

Photo by ハク
ハク
📷 Canon EOS R6m2
cizucu編集部
画面を埋め尽くす樹氷の群れは、どれも似た姿をしながら、一つとして同じ形がありません。そのわずかな差異に、風や光、時間の影響がにじんでいて、まるでそれぞれが意思を持って立っているよう。均質ではないからこそ、その風景に息づかいが宿っていると感じました。
受賞作品

Photo by Aya
Aya
cizucu編集部
濃い霧が森の奥行きを曖昧にし、どこまでが現実なのか分からなくなるような不安定さがあります。人物がそこにいることで、その曖昧さが一層際立ち、見る者の視点までも揺らいでいく。風景と感覚の境界が滲みだしていくような一枚でした。

Photo by tavito_works
tavito_works
📷 SONY α7 III
cizucu編集部
水面にぽつんと浮かぶ船は、ただそこに在ることを受け入れているようでした。孤独ではなく、世界と呼吸を合わせながら静かに耳を澄ませている。ただそこにいることに意味があるようで、その姿が、風景全体に穏やかな重心を与えているように感じました。
最後に
いかがでしたでしょうか。
見晴らしの良い光景とともに届いたのは、撮影者それぞれの視点や感情の広がりでした。
風景は決してただの景色ではなく、そこに立つことで生まれる思索や記憶、静けさや高揚を含んでいます。一枚一枚の中に宿るその揺らぎが、見る者の心を遠くまで連れていってくれることでしょう。
その風景が、誰かの記憶の片隅に残り続けるものであれば、嬉しく思います。