未来につなぎたい今を残す | 写真家・平末健人への10の質問 | ISSUE #10

1997年生まれ、今は瀬戸内を拠点に写真活動をしています。普段はキノシタショウテンにて、バリスタをしながら、撮影の仕事もしています。個人の表現としては主に風景や人物を被写体に、“今”という時間のなかで、何を未来に残していくのかを提案する活動を行っています。

写真は中学3年生の時、おじいちゃんからカメラを譲り受けたことをきっかけに始めました。 私は植物・動物図鑑が好きな少年だったので、カメラをもらってしばらくの間は、おじいちゃんの家の周りにある自然の風景を撮っていた記憶があります。それから放課後、友達と過ごす時間を写真に収めたりしました。

あの頃に撮った写真を時々見返す時がありますが、全てが”懐かしい写真”になっています。今となってはその一瞬一瞬が、大事な思い出として記憶に残っています。

表現活動においては、中判フィルムだけで撮影するというこだわりがあります。 おじいちゃんがフィルムカメラを持っていたので、小さい頃から少し親しみがあったのも理由ですが、6×6の中判フィルムに写る写真は、とても鮮明で、まっすぐで、心地よいオーラをまとっています。

カメラは学生の頃から変わらず、HASSELBLADの中古のフィルムカメラを使用しています。学生の頃、たまたま大分の中古カメラ屋さんにいったときに、出会いました。前に使っていた人も当時の私と同じ学生だったという話を聴いて、少し運命的なものを感じました。中古のカメラには、様々な人の手を経て巡り合えた感覚があり、そういう生きた物語があるのも好きです。

アコースティックやピアノなど楽器が主役な音楽を聴きます。 中でもharuka nakamuraさんや橋本秀幸さんの曲は心落ち着くので好きです。

デザイナーの原研哉さんです。日本の美意識に目を向けながら、多彩な発想で活躍されています。原さんは、私の中で感覚的に見ている部分を的確な言葉やデザインを通して伝えられています。原さんの考え方から瀬戸内地域と日本の関係性、その歴史の魅力を伝えるすべを身につけ、自分の表現活動をよりよくしたいと思います。

今のHASSELBLADに対する愛があるので、特別考えたことはないですね。あえていうならば、GRの35mmフィルムカメラで、スナップ写真が撮れたら面白いと思うくらいです。

日々の美しい瞬間です。シチュエーションをつくることもできるけど、日々の中で写真に残したい瞬間を見つけ出すという意識でシャッターを切ります。

特に考えることはないです。

イケてない…イケてるというのがわからないのが正直なところです。

服はあまり買わないです。簡単に済ませるほうですね。 ほしいとなるのは、i a i /居相 さんの服です。一度、本物を見る機会がありましたが、着るのが怖いくらい力がある服で、流行りを度外視し、本質を追及した作り手さんの意志を感じます。

設定というか、写真を撮るときに好きな距離があります。

人を撮るときは、無限遠で非常に遠くから撮影するか、2.5メートルという距離で撮ることが多いです。中判のカメラで撮影する上で、バランスの良い距離感であるという技術的な側面もありますが、色んな人を2.5メートルの距離感から覗くうちに、被写体となる人と自分の心地よい距離感が2.5メートルなんだと感じるようになりました。