
はじめに
2023年7月22日(土)、23日(日)の両日で、京都府にある禅寺・禅居庵(ぜんきょあん)内でフォトコンテスト『Capture your Emotion』の受賞作品展示会を実施しました。
『Capture your Emotion』は、禅居庵サポートのもと、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテストです。〈感情の表現〉をキーワードに、自分の内面と向き合い写真で表現するというミッションで開催されました。応募作品の中から、厳選された7つの受賞作品を禅居庵に展示しました。

Image by だいひょう
だいひょう
「#キバナコスモス」
cizucu編集部
オレンジ色の花、日本語では橙色と言い換えるでしょうか。オレンジか、橙色か。どのような色言葉をつけて、写真に残したのか、写真家の込めた感情が気になる一枚でした。

Image by 加藤溪山
加藤溪山
cizucu編集部
静けさと繊細さが凝縮された枯れた蓮。わび・さびの精神を持つ、日本人の心に響く、変わらない、変わってほしくない美しい写真です。撮る人に心の余白があることが伝わります。

Image by sora.KagiAke
sora.KagiAke
「水たまりの中に広がる」
cizucu編集部
水たまりは避けて通るもの。一度、立ち止まって水たまりに照らされた景色に目を向ける撮る人の好奇心や純粋な感性が伝わります。

Image by Kuni…
Kuni…
「淋しさ」
cizucu編集部
人の気配がなく、心細いほどにひっそりしているうさぎ。うさぎに寂しさの感情があるのか、わからない。しかし、少なくともこの写真に、私たちは淋しさの気持ちを宿します。
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Image by らっしぃ
らっしぃ
「水には色んな流れがある。 様々な方向へと進み、集まりそして広がる。」
cizucu編集部
水が滑らかに流れています。水は流れ続け、同じく流れるときはないに等しいでしょう。写真家さんが色んな水の流れの中で、なぜ今を撮ったのか。そんな気になる一枚でした。

Image by Kuni...
Kuni…
「秘めたおもい」
cizucu編集部
光が水の中を透過し、水の中に漂う微細な浮遊物や生物が輝き出します。この幻想的な光景が、まるで別世界に入り込んだような感覚を与えます。

Image by Sentimental_Jong
Sentimental_Jong
「閑谷学校 」
cizucu編集部
静寂さが伝わる空間の中に、座っている一人の男性。彼の後ろ背中を通してた撮影者は、自分の内面の理想像や精神世界を投影しているようにも見える。被写体となる男性との関係性も意識する一枚でした。
禅居庵住職・上松さんからの総評
この度はフォトコンテスト『Capture your Emotion 〜感情は露の間に宿る〜』にご参加いただきありがとうございました。今回のテーマ「感情を表現する」。
普段からカメラを手に写真を撮っている方も、形のない感情をどう表現するか、試行錯誤されたのではないでしょうか?
「良い・悪い」「綺麗・汚い」「好き・嫌い」、、、私たちはこのような価値で物事を評価してしまいがちです。自身の感情を表現するには、そんな価値観をこえ、そのままを見て、表現することが必要です。本当の意味で自身の感情に出会い、表現された作品には、何年何十年と写真を撮ってきても、まるではじめてカメラを手にシャッターを切った時のような、キラキラした新鮮な感情に溢れています。
禅居庵では機会を設けこのような展示を続けていきたいを考えています。表現することに真っ直ぐ向かい合う、そんなアーティストに一人でも多く出会いたい。表現する者にとって自身の内面を見つめることに終わりはありません。このコンテストをご覧になった皆様も、これを機会にカメラのレンズを自身の感情に向けていただき、次回はぜひご参加いただけますよう、お待ち申し上げております。
会場の入口
cizucuのクリエイターの皆さまをはじめ、普段お会いすることのできない方々と直接お会いする特別な機会となりました。偶然にも祇園祭のシーズンとも重なり、海外からの観光客の方々の目にも留まることにもなりました。
日差しが容赦なく降り注ぐ、とても暑い日だったので、日傘をさした来場者もいました。
枯山水庭園について
今回の展示の見どころの一つは、展示会場の魅力。禅居庵は、京都を誇る寺院〈建仁寺〉の塔頭寺院として知られています。京都府が指定した貴重な有形文化財である〈摩利支天堂〉があり、通常時も訪問できます。
しかし、枯山水庭園は通常は非公開。庭園には、苔と白砂の絶妙な組み合わせで表現されており、非公開の中で密かにその美しさを保っています。

庭園の様子
「いま」と「ここ」にのみ存在する体験
普段は、隠された空間の中で、マテリアルとして印刷された写真を見る体験。蝉の鳴き声が聞こえ、時間の流れを感じさせてくるからか写真を鑑賞しているという体験、行為そのものに現実味が増しました。
受賞発表の告知を通して、受賞作品を見ることはできても、それは本当の意味で、作品で伝えたいメッセージを「わかる」ということにはつながらないかもしれません。展示することの意味、写真と空間が織り成す体験の感動を改めて実感しました。

展示会という非日常の体験を通じて、写真の中の風景の先、何かを想い、どんなストーリーが隠されているのか、写真の向こう側に広がる世界により思いを馳せてみる。サポート頂いた住職・上松さんが話された「消費者ではなく、表現者としての第一歩を踏み出す為はどうすれば良いのか?」という問いへの答えを見出したような気がしました。

Image by Sentimental_Jong
最後に
今回の展示を通して、オンラインだけでなくオフライン展示の価値をcizucuチーム一同、再認識されました。独自の展示空間、人との対話を通じてアート体験を深化させる体験をリアルに創りたい。テクノロジーを活用しつつ、リアルなアウトプットの場所をクリエイターの皆様につくるので、フォトコンテストへの積極的な応募をお待ちしております。
ご協力いただいた禅居庵住職・上松さんをはじめ、フォトコンテストに応募してくださったクリエイターの皆さま、展示会に足を運んでいただいた皆さま、ありがとうございました。