

かたちの中の人生 「かたちの中の人生」── 一歩の意味 地下鉄の通路で、杖をついて歩くひとりの男性。少し前かがみで、ゆっくり、でも確かに前へ進んでいる。 私がこの写真で表現したのは、「かたち」と「人生」の関係。 点字ブロック、天井の直線、壁のタイル……駅の構造は整った「かたち」でできている。でも、それだけじゃ意味がない。そこに人がいて、歩いて、はじめて空間は「物語」を持つのだと思う。 そして男性の姿勢や歩みの「かたち」は、まるで人生そのもの。若い頃と同じようには歩けないけれど、それでも前に進もうとする姿に、私はすごく力強さを感じシャッターを押したのだと思う。 人生の「かたち」は、人によって違う。でも、進もうとする意志がある限り、それはきっと美しい。 そんなことを、この一枚を通じて。