

・『 旅情余韻 』・ ・りょじょうよいん・ 夕暮れが、列車の屋根にそっと降りて、 茜色と藍が溶けあう空を映していた。 汽笛もなく、静かに動き出す車両。 見送る人も、迎える人もいない小さな駅に、 ただ風だけが通り過ぎていく。 今日が終わってしまうことを、 誰も教えてくれないまま、 時間だけが、後ろ姿で通り過ぎる。 あの席に座っていた人の温もりも、 窓越しに見た景色の残像も、 全部が静かに胸の奥に沈んでいく。 旅は一瞬の出来事じゃない。 それは、始まりと終わりのあいだに滲む、 見えない“気配”のようなもの。 名前も知らない町で見上げた空が、 こんなにも懐かしいのはなぜだろう。 遠くなるほど、 心に近づいてくる風景がある。 この一枚に映るのは、 ただの列車ではなく、 心のどこかでまだ終わらない旅の、 静かな余韻だった。 📸:Minolta SRT-101 🎞️:Kodak Gold 200