デジタル全盛の現代において、静かに進行しているアナログ写真の復興。その象徴ともいえる存在が、リコーイメージングが開発したフィルムカメラ〈PENTAX 17〉です。
カメラグランプリ2025では、『カメラ記者クラブ・企画賞(Editors Choice R&D Award)』を受賞し、多くのクリエイターからも注目を集めています。ハーフサイズというユニークなフォーマットと、手動操作の愉しさを融合させたこのカメラは、フィルムの魅力を再発見するきっかけとなっています。

ハーフサイズで広がる創造性
〈PENTAX 17〉は、35mmフィルムのハーフサイズフォーマットを採用しています。1本のフィルムで最大72枚の撮影が可能なため、フィルムをより経済的かつ自由に使うことができます。特に縦写真での撮影が自然に行えるため、SNS向けの表現とも相性が良い点が魅力です。

Photo by ⋆* 粋 -sui- ⋆*
また、マニュアルの巻き上げレバーやゾーンフォーカス方式など、カメラの操作そのものを楽しめる設計になっており、全自動をあえて避けることで、撮影者の感性や創造性を引き出してくれます。
フィルム写真の「不完全さ」に宿る美しさ
フィルム写真の魅力は、粒子のざらつきや光漏れ、二重露光など、偶然に生まれる「不完全さ」にあります。そうした現象が、かえって作品に個性と深みを与えてくれるのです。写真家の岩倉しおりさんも「出来上がりが予測できないことこそがフィルムの魅力」と語っています。
〈PENTAX 17〉の公式サイトでは、岩倉しおりさんの作例も紹介されています。その写真からは、彼女の繊細な感性とPENTAXのカメラづくりに込められた想いが、静かに重なり合っていることが感じられます。
撮る時間を、味わう時間へ
〈PENTAX 17〉は、単なる懐かしさを追う製品ではありません。フィルムの選定から撮影、現像に至るまでのすべての工程が、写真と向き合う時間を豊かにしてくれます。スマートフォンやAI搭載カメラでは味わえない、アナログならではの“手間と時間”が、作品に深みを加えてくれます。
ゆっくりと時間をかけて完成する1枚の写真には、必ず撮影者の想いや視点が宿ります。そうしたプロセスそのものが、〈PENTAX 17〉が描くフィルム写真の未来を示しているのではないでしょうか。


