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タイと日本で越境参加 | わたしがpppを愛する理由 By masashi7069 | Focus #730

By cizucu · 2026年9月1日

連載『わたしがpppを愛する理由』
タイと日本で越境参加 | わたしがpppを愛する理由 By masashi7069 | Focus #730
タイと日本で越境参加 | わたしがpppを愛する理由 By masashi7069 | Focus #730

はじめに

cizucuが世界中で展開する〈photo poster project(ppp)〉。それは、自分のストーリーを安心してシェアできる場所であり、世界中のクリエイターとリアルに繋がれるコミュニティです。

『わたしがpppを愛する理由』では、pppを愛するクリエイターに取材し、我々cizucu編集部さえも気づけていないpppの魅力に出会っていきます。今回はタイと日本の2カ国で“越境参加”したmasashi7069(Masashi)さんをフィーチャーします。

Information
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masashi7069

タイを拠点に、寺院や街に流れる空気、人々の表情をすくい取るように旅先で撮影を行う。photo poster project(ppp)では、タイと日本の両国で参加し、“越境”というかたちで出会いと交流を広げながら、表現の可能性を探っている。

Instagram : masashi7069

まずは、タイに暮らすことになったきっかけから聞かせてください!

日本の専門商社で会社員をしています。東京で国内のお客様を長く担当していたのですが、海外で働いている友人に刺激を受けて、「自分ももっと外に出たいな」と思うようになったんです。
そんなきっかけで貿易を担当する部署に異動しました。

2018年からはタイの子会社に出向していて、タイを拠点に周辺各国への海外出張が増えました。プライベートでもタイ国内外問わず旅が好きで、いまは単身赴任ということもあって、休日にふと時間ができると一人でフォトウォークに出かけることが多いですね。

タイで暮らすなかで、どんな景色や瞬間にカメラを向けたくなりますか?

タイや周辺国は寺院が本当に多いのですが、建物そのものというより、そこで祈っている人たちの表情とか空気感を撮るのが好きなんです。

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Photo by masashi7069

友人と一緒にフォトウォークに行くと、同じ場所を歩いていても全然違う視点で撮っていて、「そう切り取るんだ!」って発見があるのが面白いです。
あと2年くらい前から天の川の撮影にハマっていて、タイ国内はもちろん、周辺国も含めて撮影スポットを探しているところです。

それに、タイはスマートフォンで撮る文化がすごく盛んだなと感じます。街を歩いていると、女性がパートナーに写真を撮ってもらっている場面を本当によく見かけますね。
納得いくまで何度も撮り直していて、撮る側も撮られる側も、自然と経験値が上がっていくんだろうなって。素人目ながら「めちゃくちゃ決まってるな」と感心することが多いです。

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Photo by masashi7069

ストリートフォトでは、カメラを向けても「撮っていいよ」って、わりとおおらかに受け入れてくれる人が多い印象です。中には、ピースサインをしてくれる人もいます。
私はタイでカメラを始めたので、完全に比較しきれない部分もあるんですが、日本やヨーロッパだと距離感が違うみたいで、タイの"ゆるさ"が好きで撮りに戻ってくる友人もいるんです。

タイと日本、両方でpppに参加してみて、会場の空気や交流に違いはありましたか?

まず、タイも日本も会場の温かな雰囲気は変わらなくて、交流会としての空気感は特に「同じだな」と感じました。展示を見て「ちょっと説明してもらえませんか?」って声をかけるところから、自然と会話が広がっていく。写真がコミュニケーションの入口になっているところは、日本もタイも共通でした。

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逆に「ここは違うな」と感じたのは、やっぱり言語でした。日本のpppはほぼ日本語で、日本人の方が8割〜9割くらいでしたが、タイのpppは参加者の多くがタイ人でも英語でコミュニケーションがとれて、私を含めて外国人の比率がぐっと上がったんですよね。
私のタイ語は日常会話なら問題ないのですが、細かいニュアンスまで説明できるほどではなくて。しかもギャラリートークがトップバッターだったので、「何語で話そう?」と迷いました。

日本語だとスタッフさんの通訳を介して、という形になるけど、英語ならもう少し直接想いを伝えられるかもしれない。もし英語が苦手な方がいてもスタッフさんが通訳してくれるだろう、と期待して英語で話すことにしました。

そうしたら、続くタイ人の参加者もほぼ全員が英語でギャラリートークをしてくれて、「英語でもいいんだ」とわかったことで、僕も日本のときと同じように参加者のみなさんと交流できました。作品に質問をもらったり、あとからSNSでつながったりして、本当に楽しかったです。

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Photo by masashi7069

作品の傾向でいうと、日本は日常のすぐそばにあるものを撮った作品が多い印象で、タイは旅先で撮った作品が多い印象でした。バックグラウンドが違う人の作品を見るのはすごく刺激になりましたね。
pppの根っこにある「お互いへのリスペクト」や「趣旨に賛同して集まっている」という空気は、国を超えて同じだと感じます。

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Photo by masashi7069

国は違っても同じ安心感を感じられると、参加する側としては心強いですね。では、pppの「気軽さ」はどんなところで感じますか?

一番「気軽さ」を感じるのは、印刷まで任せられるところですね。
展示会をやったことがある人ならわかると思うんですが、印刷って業者選びから紙選びまで、こだわり始めると本当にキリがないんです。そこをまるごと委ねられるので、準備の段階で身構えなくて済みますし、僕がpppに求めている「交流の機会」に気持ちを向けられます。

そういう気軽さがあるから、参加のハードルもぐっと下がるんだと思います。

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もう一つは、機材やレベルでいい意味の線引きがないところですね。本格的なカメラじゃなくても、iPhoneの作品でも自然に「どうやって撮ったんですか?」って会話が生まれるんです。写真がそのままコミュニケーションの入口になっていて、「ここなら自分も混ざれるな」って思える空気がある。そこが、pppらしい気軽さだなと感じました。

その空気感がまさにpppらしさかもしれませんね。pppでの出会いで、今も心に残っている言葉や出来事はありますか?

タイのpppで、参加されていた地質学者の方と話したときのことなんですが、砂漠で300mくらいの高さがある砂山を写した写真が展示されていたんです。
最初は「いったいどこで、どうやって撮ったんだろう?」って、本当に見当もつかなくて。気づいたら吸い寄せられるみたいに、その方のところへ質問しに行っていました。

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Photo by TONTOXI

そしたら、「太陽の位置から南北を読み取って、狙った構図に合わせて立ち位置まで決めて撮影している」と、驚くほど丁寧に教えてくださって。
作品として見ていた一枚の奥に、砂漠の風まで感じるような、圧倒的な“世界”が立ち上がってきたんですよね。写真に触れたはずなのに、自分の世界の方がぐっと広がった気がしました。

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同じ会場に、砂漠や南極に本当に足を運ぶ人がいて、その体験が写真になって目の前にある。pppって、写真を見る場所でもあるし、普段の生活ではまず交差しないような人たちと出会える場所でもあるんだなって、改めて実感しました。
あの会話以来、「もっと違うところに行きたい」って、心の奥の旅心に火がついたままです。

では、お気に入りの一枚を見せてください!その写真を選んだ理由や、そこに込められたストーリーについても知りたいです。

写真を始めた頃、タイで活動されている明石直哉さん主催のフォトウォークに参加していたんです。バンコクの中華街を歩いたときに教えてもらったのが、空心菜を炒めるときに上がる大きな炎。「いつかあの炎を、ちゃんと撮ってみたいな」って、ずっと思っていました。

でも、いざ撮りに行こうと思った頃には、その大きな炎を出す屋台が、いつの間にかいなくなったと聞きました。今いちばん好きなのは星空なんですけど、実は炎のこともずっと気になって仕方なかったんです。

そんなことも忘れかけていた頃に、カンボジアのシェムリアップ(アンコールワットのある街)のナイトマーケットを撮り歩いていたら、また同じような炎に出会ってしまって。コックのお兄さんが「今やるよ」って合図してくれて、その瞬間にばっちり撮れたのが、この一枚です。

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Photo by Masashi

これからのpppに、どんなことを期待していますか?

初めて日本でpppに参加したとき、cizucuのメンバーのRinさんが「海外でもやります!」っておっしゃっていて。正直その時は、まだ実現するかどうかもわからなかったんですけど、「自分が住んでいるタイ・バンコクでもやってくれたらいいな」って、ぼんやり思ってたんです。

それが本当に実現して、いまはアジアから欧州へと活動を広げていっているのが、ただただすごいなって思います。「お互いの写真をリスペクトする」っていう想いが本当に居心地がよくて素敵なので、次はアメリカ大陸にも到達して、地球一周してほしいですね。

どんな形になるのかは想像できないんですけど、いつか世界中のppp参加者が集まって交流できるイベントみたいなものがあったら、めちゃくちゃ面白いだろうなって思っています。

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最後に、pppへの参加を迷っている方へ、ひとことメッセージをお願いします!

pppにはカメラ上級者やプロの方も参加していますが、それと同じくらい、はじめて参加する人や写真を始めたばかりの人も多いんです。だから初心者だからといって、身構える必要は全然ないと思います。

正直、最初は私も「ちゃんと馴染めるかな?」って、ちょっと不安でした。
でも、みんな「お互いの写真をリスペクトする」っていう同じ想いに共感して集まっているので、自然と会話が生まれるんです。

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私は、タイの知人にpppを案内するとき、英語で"Photograph Lovers Gethering Party"と伝えたことがあるんです。"Exhibition"というより、"Party"の方が感覚としては近くて。つまり、それくらい気軽で、あたたかい場所なんです。

会場にはカメラの作品もスマートフォンの作品も並んでいて、ジャンルも本当にさまざまです。SNSだとアルゴリズムの影響で、自分の好きなものばかりが流れてきてしまいがちですが、pppでは、本屋さんでふらっと関係ない棚を眺めるみたいに、思いがけない写真や価値観に出会えます。

もし少しでも気になっているなら、まずはふらっとpppの会場の空気を覗きに行ってみてほしいですね。

編集後記

Masashiさんは、pppが始まる前からcizucuユーザーとして寄り添い続けてくれているクリエイターの一人です。今回、直接お会いして、pppへの想いやこれからへの期待を伺えたことは、編集部にとっても印象深い時間でした。

今回のお話で強く感じたのは、pppは「作品を展示する場」であると同時に、「人と出会う場」でもあるということ。国や言語が違っても、写真があれば会話が始まって、気づけば距離が縮まっていく。そこにある温度が、日本でもタイでも変わらない。その事実に、じんわり嬉しさが残りました。そしてpppには、アルゴリズムではたどり着けない世界と、作品と、クリエイター。その全てに“偶然”出会えるのが、pppの面白さであり、愛され続ける理由なんだと思います。

Masashiさんの言葉を通して、pppが多くの人に愛され続けている理由を、あらためて実感することができました。編集部としても、pppが愛される理由をひとつひとつ言葉にしながら、その魅力を国や文化の垣根を越えて、より遠くまで届けていけたら嬉しく思います。

cizucu 編集部 Seiya

さいごに

いかがだったでしょうか。

〈photo poster project(ppp)〉は、特別な人のための場所ではありません。うまく撮れた人のための場所でもありません。表現を続ける人たちが集い、純粋に写真を愛する人たちを、心から歓迎する場所です。

2024年末にスタートしたpppは、日本からはじまり、韓国やシンガポール、イギリス、ドイツなど世界9ヵ国28都市以上で開催されてきました。国や言語を越えて、写真をきっかけに人が出会い、つながっていく。そのコミュニティーは、今も少しずつ広がり続けています。

あなたもpppを通して、自分の作品の新しい可能性に出会ってみませんか。

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