はじめに
『The Artificial Glow』は、cizucuが主宰する、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテスト。応募作品の中から優れた作品をキュレーションし、プラットフォームとしての新たな才能の発掘、そして、コミュニティとしての支援を目的としています。
今回のテーマは、〈人工的な光〉でした。
日が沈み、人の姿が見えなくなったあとも、街や都市にはさまざまな光が残ります。 カーテンの隙間から漏れる住宅の明かり。 誰もいない駅を照らす蛍光灯。 深夜のコンビニや、静かな道に立つ街灯。
人工的な光は、人の姿を直接映すことなく、そこにある暮らしや時間、誰かの存在を浮かび上がらせます。
一方で、暗闇に残されたその光は、人の気配を感じさせると同時に、不在や孤独の影を色濃くすることもあります。 皆さまからは、人の営みの輪郭を形作る作品を募集いたしました。
それでは、応募作品と受賞作品をご紹介いたします。
応募作品

Photo by 제로펄슨
제로펄슨
cizucu編集部
赤く縁取られたビル群から、都市の内部に蓄えられた膨大な熱が、夜の闇へ放出されているかのようです。建物を飾る光というより、そこに集積する人々の労働や欲望、生活のエネルギーが、光へと姿を変えたものに思えます。都市が巨大な生命体として脈打つ、その体温を感じました。

Photo by mumei ksm
mumei ksm
📷 Canon EOS 6D Mark II
cizucu編集部
赤や青の光が空間を駆け巡り、音楽の振動や人々の熱気にまで輪郭を与えます。中央でプレイする人物を核に色彩が渦巻き、この場の高揚を際立たせています。光に手を引かれ、ライブハウスの喧騒へ誘われていくようでした。

Photo by Yudai Fujisawa
Yudai Fujisawa
cizucu編集部
沈みかけた空の深い青と、店内からこぼれる光。その間で灯る理髪店のサインが、夕暮れの街に色彩の重なりを生んでいます。いつもそこにあるがゆえに意識からこぼれ落ちるものへ、目を向けシャッターを切ることで、ありふれた街角が確かな情景に見えてきます。

Photo by Boon Chew Low 汶洲 劉
Boon Chew Low 汶洲 劉
cizucu編集部
均された路面、等間隔に並ぶ街灯、行き先を示す標識。人の手が及んだ場所であるはずが、路面の橙色の光をたどるほど、都市の奥ではなく、人の気配が届かない世界へ近づいていくように思えてきます。人工の秩序を進んでいるはずが、現実の座標から外れていくような感覚を覚えました。
受賞作品

Photo by scottieblur
scottieblur
cizucu編集部
看板光は、にじみとなって街へ溶け出し、その光が混じった煙のぼやけは、肌にまとわりつく空気や、店先の熱、姿の見えない話し声まで伝わってきます。光も煙も人影も、湿った空気のなかでひとつに混ざり合い、この街の夜がもつ湿度まで閉じ込めているように感じました。

Photo by 제로펄슨
제로펄슨
cizucu編集部
都市の光は誰にでも等しく開かれているのに、それを眺める時間はその人だけのものです。壮大な明かりも、やがて一人の記憶へ収まっていく。眩しさのなかで、この人物は自分の考えに輪郭が戻るのを待っているのかもしれません。今日のことも、これからのことも、言葉にせず光の向こうへ置きながら。
最後に
いかがでしたでしょうか。
作品を通して、人工的な光は街を照らすだけでなく、そこに集積した人の熱や沈黙、記憶に輪郭を与えるものでもあると気づかされました。次に夜の光へ目を留めたときは、それが誰のために灯り、どのような時間を支えているのか、想像してみてください。


