はじめに
『Notihg but One』は、cizucuが主宰する、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテスト。応募作品の中から優れた作品をキュレーションし、プラットフォームとしての新たな才能の発掘、そして、コミュニティとしての支援を目的としています。
今回のテーマは、〈ただ、ひとつ〉でした。
ただひとつのものに目を向けるとき、私たちはそのまわりにある気配まで、より深く感じ取ることがあります。
たとえば、一本の花。ひとつの椅子。誰もいない窓辺。静かにそこにある背中。写し出された被写体はひとつでも、その内側には、時間や光、記憶、そして撮影者のまなざしが重なっています。
多くを語らないからこそ、見る人の想像が広がっていく。
そんな余白の力もまた、写真の魅力のひとつです。
それでは、応募作品と受賞作品をご紹介いたします。
応募作品

Photo by Henry
Henry
📷 APPLE iPhone 16 Pro
cizucu編集部
何気ない紙片を、ここまで静かな存在として写し取っている点に惹かれました。広く取られた余白の中に、くしゃりと曲がった白いかたちがぽつんと置かれ、その小さな起伏や影が、かえって強い視線を引き寄せます。身近すぎて見過ごしてしまうものにも、まなざしを向けることで造形や質感が立ち上がる。テーマである〈ただ、ひとつ〉を、とても素直に、そして繊細に表現した一枚です。

Photo by 김태욱
김태욱
airplane cloud
📷 RICOH GR III HDF
cizucu編集部
淡い青空にすっと伸びる一本の飛行機雲が、静かな緊張感を帯びて立ち上がっている。左右に広がる青のグラデーションや、下部に添えられた木々のシルエットによって、その細い線の存在がより際立って見えます。瞬間的に消えていくものを、ひとつの線として捉えた視点が印象的です。シンプルな構成でありながら、空の広がりや時間の流れまで感じさせてくれる作品でした。

Photo by kenny
kenny
📷 FUJIFILM X-Pro1
cizucu編集部
霧に包まれた風景の中で、一本の鉄塔だけが静かに浮かび上がっています。輪郭が曖昧になった空気の中に立つその姿は、巨大な構造物でありながら、どこか孤独で儚い印象を残します。余計な要素が削ぎ落とされているからこそ、鉄塔の存在感だけでなく、周囲に漂う湿度や静けさまでも伝わってきました。見えるものと見えないものの境界を丁寧に写した、余韻の深い一枚です。
受賞作品

Photo by Yosuke0312
Yosuke0312
NOT MADE TO FIT IN.
📷 NIKON D750
cizucu編集部
無数のひまわりが咲き誇る中で、こちらを向いた一輪がふと視線を捉えます。光を受けて揺れる黄色の重なりが賑やかでありながら、その中心には、周囲とは少し異なる静かな強さが宿っています。たくさんの花に囲まれていても、自分だけの向きで咲く姿が印象的でした。〈ただ、ひとつ〉というテーマに、まっすぐな生命力で応えた作品です。

Photo by Jon Jerryl
Jon Jerryl
Lady Winter
📷 FUJIFILM X-Pro3
cizucu編集部
窓の向こうに浮かぶシルエットと、そっと添えられた手のかたちが、強い物語性を残します。ガラス越しの淡い光や滲んだ輪郭によって、被写体ははっきり見えないまま、むしろ記憶の中の人物のように立ち上がってきます。暗さと静けさを味方につけた構成が美しく、見る人それぞれの感情を呼び込む余白があります。ひとつの気配を印象深く写し留めた一枚でした。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回も、世界各国のクリエイターから、〈ただ、ひとつ〉というテーマに向き合った多彩な作品が寄せられました。
ひとつの被写体に込められたまなざしや、静かな余白の中に広がる物語を通して、それぞれの感性が鮮やかに立ち上がっていたように感じます。何気ない存在を丁寧に見つめることで、世界の見え方が少し変わることを教えてくれる作品ばかりでした。
ご応募いただいたみなさま、素晴らしい作品をありがとうございました。
次回のコンテストでも、みなさまの新たな視点に出会えることを楽しみにしています。


