cizucuが世界各地で開催しているフォトポスターの展示会〈photo poster project(ppp)〉。その活動の広がりを支えているのが、各地で共に場を育んできたギャラリーの存在です。
本企画では、そんなパートナーでもあるギャラリーに焦点を当て、それぞれの場所に宿る想いや、その場を支える人々の声に迫ります。
今回は、台北・大稲埕にある〈OLYMPUS〉のブランドフラッグシップストア〈Olympus Plaza Taipei 大稻埕旗艦店〉。ギャラリーをはじめ、様々な体験が交差するこの場所では、日々どのような出会いや表現が生まれているのか。日頃からお世話になっているストアマネージャーのSabrinaさんに、場づくりへの想いや ppp へ抱くイメージを伺いました。

Olympus Plaza Taipei 大稻埕旗艦店
写真と深く向き合うための、他に類を見ない複合施設。1棟目には、1階に製品の販売・展示センター、2階に写真教室、3階にフォトスタジオを備え、2棟目には、1階にギャラリー、2階に多目的展示スペースを併設。「写真を知る」「写真を学ぶ」「写真を創る」「写真を発表する」という、写真表現の一連のプロセスを一つの場所で体験できる、希少な空間。
Instagram : @olympus.plaza.tpe
このギャラリーについて教えてください!
「百年のフラッグシップ」という言葉が、この場所のすべてを物語っています。
東京から台北へ、そして1919年から2019年へ。OLYMPUSは一世紀という時間を越えて、大稲埕にたどり着きました。
ここで出会ったのは、大正8年(1919年)に建てられた、百年の歴史を持つ建物です。もともとは1919年に李氏一族が所有しており、1941年には大稲埕の張文鉁医師が購入して小児科医院を開設しました。その後1953年に郭国樑氏が所有権を取得し、南北貨(乾物など)を扱う商店として営まれてきたといいます。

©︎ Olympus Plaza Taipei
そして2019年、OLYMPUSは「写真を生活の中へ」という原点を忘れることなく、この百年の古民家とともに新しい旅へ踏み出しました。
さまざまな可能性を探りながら、新しいブランド体験をつくり上げていく。充実したサービス、講座、空間、設備を備え、利用者が「購入・学習・鑑賞・展示参加」までをここで完結できるようにすることで、写真を通して暮らしを豊かにしていきます。
このギャラリーを運営する中で、特に大切にしていることは?
特に大切にしているのは、「多様性」と「新旧の融合」です。ジャンルや世代、表現手法にとらわれることなく、それぞれの作品が自然に共存し、互いの違いを否定せずに引き立て合えるような場でありたいと考えています。
そのため、空間そのものにも特定の意味や色を強く持たせすぎず、作品や展示内容によって表情を変えられるように設計しています。照明や音響といった設備面も含めて、表現者が自由に試行錯誤できる“余白”を残すことを意識しています。

©︎ Olympus Plaza Taipei
このギャラリーがある街や地域の魅力を教えてください!
〈Olympus Plaza Taipei〉がある大稲埕は、台北でも「歴史の厚み」と「現代の創造力」を同時に感じられる数少ない場所です。
ここはかつて台湾の重要な商業・文化の中心であり、百年の街屋(老街屋)、伝統産業、人文の物語が数多く残っています。同時に、若いクリエイターやデザインブランド、アート・カルチャーチームの進出も増えています。

©︎ Olympus Plaza Taipei
写真にとっても、大稲埕は奥行きのある魅力的な場所です。迪化街に残る古い建築、街の日常、人々の表情、埠頭の夕景、都市の質感まで、少し歩くだけで「いまこの場所で生まれている」一枚の作品に出会えるように感じます。ここでは、ただ写真を撮るだけでなく、レンズを通して都市の記憶や変化を感じ取ることができます。
百年の歴史を持つ古民家でこの空間を運営できることを、とても幸運に思っています。ブランドが歩んできた百年の歴史と、大稲埕に根づく百年の文化が重なり合い、訪れる人が「イメージ・建築・人文」のあいだから新しいインスピレーションを得られる場所になれば嬉しいです。
ギャラリーという場所は、これからどんな存在になっていくと思いますか?
これからのギャラリーは、作品を展示する場所であるだけでなく、創作者・観客・コミュニティをつなぐプラットフォームになっていくと考えています。
デジタル時代では、イメージは日々大量に生産され消費されます。しかし、人が立ち止まって見て、交流し、考えることができる実体験の場は、むしろいっそう貴重になります。
ギャラリーの価値は「展示を見る」ことだけではなく、対面での交流や制作プロセスの共有、そして異分野コラボレーションを生み出す機会を提供できる点にあると考えています。

©︎ Olympus Plaza Taipei
〈Olympus Plaza Taipei〉にとっても、ここは単なるブランド空間ではなく、展覧会・トーク・ワークショップ・写真交流を結ぶ文化拠点でありたいと思っています。
未来のギャラリーは、より開かれた創造の集落のようになり、世代や背景の異なる人が「イメージ」をきっかけに出会う場になるかもしれません。
ppp はどんな取り組み・コミュニティだと感じていますか?
〈photo poster project(ppp)〉のいちばん貴重な点は、展示そのものだけでなく、その背後に形成されている写真コミュニティにあると思います。
ppp は、写真を個人の創作行為にとどめず、継続的な交流と共同成長のプロセスへとつなげている取り組みです。参加者は展覧会を通して自分の観察、経験、人生のストーリーを共有し、互いの作品から異なる世界観を見つけます。展示のたびに、それは「イメージについての対話」のように感じます。
ppp は、創作者が勇気を持って声を出すことを後押しする、そんなプラットフォームだと感じますね。いわゆるプロの写真家も、カメラを持ち始めたばかりの人も歓迎し、重視しているのは技術だけではなく、各人がイメージを通して生活・都市・時代への理解をどう表現するかという点です。

photo poster project (ppp) の様子
だからこそ、ppp は単なる写真展ではなく、写真を愛する人たちが共につくるコミュニティのような存在です。より多くの ppp 参加者を通して、創作のエネルギーが積み重なり、背景の異なる人々がつながっていくこと、そして写真が「世界を理解し、感動を分かち合う方法」でもあることを、私たちは ppp を通して実感しています。
ppp をサポートしてくださっている理由を教えてください!

photo poster project (ppp) の様子
ppp は単なる写真展ではなく、創作者が継続的に交流し、共有し、ともに成長できるプラットフォームだと考えています。こうした理念は、私たちが長年推進してきた写真文化の方向性ととても近いものです。だからこそ私たちは ppp を支援したいと思いました。より多くの創作者が見られる機会を得て、より多くの観客が作品を通して写真の力を感じられるようにしたいからです。
私たちにとって ppp を支援することは、単に一つの写真展をサポートすることではありません。写真を通して時代を記録し、物語を分かち合おうとする人々を支援することでもあります。
〈Olympus Plaza Taipei〉を通じて、どのような人や価値観と出会っていきたいと考えていますか?
〈Olympus Plaza Taipei〉として出会っていきたいのは、写真家だけではありません。世界への好奇心を持ち、暮らしを観察することを楽しめるすべての人です。
カメラを始めたばかりの人も、長く創作を続けてきた写真家も、ただ展示を見ることが好きな人も、この空間で誰かとつながるきっかけを見つけてほしいです。写真や作品は、年齢や職業、背景を越えて人と人をつなぐ言語だと思うからです。

©︎ Olympus Plaza Taipei
価値観として私たちが特に大切にしているのは、「真摯さ」「共有」「探究」の三つです。自分の創作や視点に誠実であること。経験や物語を他者と分かち合うこと。世界への探究心を持ち続けること。これらは写真技術以上に重要であり、Olympus Plaza が育てたいコミュニティ精神でもあります。
この空間が開かれたプラットフォームとなり、異なる視点が出会い、対話し、交流のなかで新しい発想と可能性が生まれていくことを期待しています。
今後「やってみたいこと」や「実現させたいこと」はありますか?
私は以前から、〈Olympus Plaza Taipei〉を単なる展示空間ではなく、創作と文化交流を継続的に育む拠点にしたいと考えてきました。今後は、より多様な分野の創作者を招き、写真や作品が「見られるだけ」にとどまらず、さまざまな表現と対話できる場にしていきたいです。
同時に、地域とのつながりも深めていきたいですね。大稲埕は物語に満ちた街区であり、ローカルの記録を通じて創作者がこの土地とより深い関係を結べれば、興味深い作品や交流が数多く生まれるはずだと信じています。

©︎ Olympus Plaza Taipei
それこそ〈Olympus Plaza Taipei〉が、多くの人の写真の旅における重要な節目になってほしいです。たとえば「初めて展示を見た場所」「初めて作品を公開展示した場所」「志を同じくする仲間と初めて出会った場所」がここであったなら。そうした創作の物語の始まりを見届けられることこそ、この空間にとって最も価値のある成果だと思います。
私たちにとって本当に重要なのは、何作品を展示したかではなく、この空間が写真や作品をきっかけに人々を出会わせ続け、そこから新しいつながりや可能性が生まれているかどうかです。
このギャラリーを訪れてみたい方や、これから展示に挑戦してみたい方へメッセージをお願いします!
もし〈Olympus Plaza Taipei〉を初めて訪れるなら、ここを「ゆっくり写真を見て、創作者と出会い、写真の魅力をもう一度感じられる場所」として受け取ってもらえたらうれしいです。
大稲埕にあるこの百年の古民家には、都市・文化・写真にまつわる多くの物語が蓄えられています。写真に詳しいかどうかに関わらず、好奇心を持って足を踏み入れてほしいです。きっと、自分なりの感動が見つかるはずです。
そして展示を考えている創作者へ。自分が「すごい写真家」になるまで、作品を共有するのを待つ必要はありません。心を動かす写真の多くは、誠実な観察と独自の視点から生まれます。
私自身も世代や背景の異なる創作者の声をもっと見たいと思っています。この空間が、写真を通じた交流と創造的な出会いが続く場であり続けられるように心から願っています。


