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香港の注目フォトジャーナリスト・Chan Long Heiが答える「10の質問」| ISSUE #245

By cizucu ·

香港の注目フォトジャーナリスト・Chan Long Heiが答える「10の質問」| ISSUE #245

©︎ Chan Long Hei

独自の視点で写真表現を追求する人物へのインタビューを通じて、創作の原点や思想、制作プロセスを掘り下げ、世界中のフォトグラファー・フォトメディアに新たなインスピレーションを届けます。

今回は、香港を拠点に活動するフォトジャーナリスト/ヴィジュアル・アーティストの〈Chan Long Hei〉さんに話を聞きました。国際メディアでの取材活動と個人プロジェクトを行き来しながら、〈Chan Long Hei〉の作品は、社会の微細な変化を見つめ、記録し、未来へ残すことへと向かっています。「10の質問」を通して、誠実さ、記憶、公共的なまなざし、そして責任感が、どのようにその写真実践を形づくっているのかを探ります。

〈Chan Long Hei〉にとって写真は、単なる表現手段ではありません。それは第一言語であり、ヴィジュアル・ダイアリーであり、歴史を守り継ぐための行為でもあります。社会政策を学んだ学生時代からフォトジャーナリズムへ、変わりゆく香港の現実を記録することから、鳥と窓の衝突という見過ごされがちな命の問題へ。その作品は、いまこの瞬間の痕跡を未来へ残すために、写真に何ができるのかを問いかけています。

Information
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©︎ Chan Long Hei

Chan Long Hei

1994年生まれ。香港育ち・香港拠点のフォトジャーナリスト/ヴィジュアル・アーティスト。大学で社会政策を学んだのち、Associated Press、The Guardian、Bloomberg Newsなど、国際メディアでフォトジャーナリストとして活動。2017年以降は『Hong Kong is beautiful, isn't it?』(2019)、『The Unspeakable』(2020)、『After Island』(2021)などの写真集を発表。現在は、社会現象の記録と個人プロジェクトの制作に取り組んでいる。

Instagram : @clhfoto

Q1. あなたの写真の原点と、現在の活動について教えてください。

私の写真への歩みは大学時代に始まりました。社会政策への関心と写真への情熱が、自然に結びつきました。のちにフォトジャーナリストとして働く機会を得て、写真を、社会を記録するための柔らかくも力強いメディアとして用いたいと考えるようになりました。

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©︎ Chan Long Hei

現在は、国際通信社のフォトジャーナリストとして活動を続けています。それ以外の時間は、主に個人の写真プロジェクトに費やしています。人生のさまざまな段階や場所で、自分にとって重要な物語をより深く掘り下げるためです。

Q2. あなたの作品において、最も大切にしている要素・テーマは何ですか?

私の作品は、個人的な経験を起点に、社会や公共の議論ともつながっています。人や社会を見つめることは、自分の内面を見つめることでもあります。
最近のプロジェクトでは、都市部における鳥と窓の衝突を扱っています。日常の中で傷ついた鳥を何度も見かけ、この問題を自分ごととして考えるようになりました。小さく脆い命が断たれていく重みが、写真を通じて行動するきっかけになったのです。都市の欠陥を記録するだけでなく、私たちが共有する環境との関係を問い直すために、カメラを向けています。

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©︎ Chan Long Hei

Q3. あなたの作品はどのように生まれますか?直感や偶然、現場での判断など、創作の裏側が知りたいです。

フォトジャーナリストとしての訓練は、目の前で起こることに反応し、捉えることを教えてくれました。一方で、個人プロジェクトでは、リサーチや現地での調査、インタビューを重ねながら計画を立てていきます。ただ、心に残る瞬間は、計画どおりではない場所で生まれることも多いです。

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©︎ Chan Long Hei

道中で出会う人々や組織との予期せぬつながりが、新しい視点を与え、プロジェクトを次の段階へと自然に導いてくれるのです。実際に撮影の瞬間が訪れると、構造化された計画は直感へと変わります。カメラは本能の延長になります。時には、一枚の偶然のイメージや、さらに考えることを求める素材から、すべてが逆向きに始まることもあります。

Q4. あなたが表現を続ける原動力は何ですか?

私は、話し言葉や書き言葉で自分を表現することがあまり得意ではありません。写真は、私にとって第一言語のようなものです。日々の思考や観察、違和感を受け止め、外に出すためのヴィジュアル・ダイアリーでもあります。

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©︎ Chan Long Hei

Q5. お気に入りの一枚を見せてください。その一枚に込めたストーリーや、選んだ理由も知りたいです。

この写真は、技術的に最も完璧な一枚ではないかもしれません。それでも、私の魂と最も深く結びついている写真です。鳥と窓の衝突を扱うプロジェクトの原点にある一枚でもあります。パートナーと私は、ガラスのファサードに衝突して重傷を負った小さな鳥を路上で見つけました。その鳥は、私たちの手の中で最期の息を引き取りました。

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消えゆく命を抱えたその経験は、ひとつの転機でした。都市の中を生きる小さな生き物たちが、いかに声を持たない存在であるかに強く打たれました。この写真を選んだのは、個人的な悲しみが芸術的な責任へと変わった瞬間を写しているからです。社会の中で見えないものとされている命に、視覚的な重みを与える写真なのです。

Q6. AI時代に、写真はどんな意味を持つと思いますか?

ドキュメンタリーやフォトジャーナリズムを背景に持つ私の実践は、厳格な倫理基準と切り離せません。一方で、クリエイティブな領域において、AIは間違いなく興味深い複雑さをもたらしています。現実と虚構のあいだにある曖昧なグレーゾーンは、イメージを再提示し、語りの方法を多様化する豊かな可能性を開いています。

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©︎ Chan Long Hei

ツールとしてのAIは、歓迎すべき進化でもあります。しかしドキュメンタリー写真にとって、AIの時代は前例のない課題をもたらし、同時に私たちの役割をこれまで以上に重要なものにしています。人工的なイメージが増えるほど、生成されたものと目撃されたものとの摩擦は強まります。この時代が、物理的な真実、生のままの、改変されていない「現実」のかけがえのなさを社会に深く考えさせるきっかけになればと思います。それは、ドキュメンタリー写真だからこそ守れる価値かもしれません。

Q7. 香港の写真シーンの中で、あなたが「重要だ」と感じる動きやコミュニティは?

香港では、写真文化がまだ広く根づいているとは言えません。どちらかといえば、断片的であり、写真への関心は一部に限られ、よく知られている写真家のスタイルだけで語られがちです。さらに近年は、地域の文化活動が縮小し、多くの芸術・写真団体が活動を終えています。

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©︎ Chan Long Hei

それでも、その縮小の中から、独立した個人、アーティスト・ラン・スペース、インディペンデント書店などによる静かな粘り強さが現れています。統一されたムーブメントというより、いまのコミュニティは分散した持続性によって形づくられています。多くのクリエイターが、静かに、しかし力強く、香港の集合的な写真のアイデンティティを築き続けています。この街の現実をモザイクのようにつなぎ合わせ、多様な物語が平板化されたり忘れられたりしないようにしているのです。

Q8. 他国の写真シーンやクリエイターに、興味や刺激を感じることはありますか?

最近、鳥に関するプロジェクトの準備をしていたとき、アメリカの写真家〈Lucas Foglia〉による『Constant Bloom』に出会いました。彼はある蝶の移動ルートを記録しながら、そのルートと重なる難民の移動経路や人々の姿を同時に撮影していました。
私はそのストーリーテリングの方法に深く惹かれました。小さな命への繊細なまなざしを持ちながら、人間の運命と自然界とのあいだにある共通性を、非常に深く描き出していたからです。

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©︎ Chan Long Hei

Q9. あなたが人生をかけて追い求めたいことは?

私は、歴史の中にある小さく、ときに痛みを伴う変化に惹かれています。人生をかけて追い求めたいのは、自分を育ててくれた場所を誠実に記録し、社会の現実を未来に残すことです。

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©︎ Chan Long Hei

創作は、私にとって歴史を守り継ぐ行為です。風景や記憶が変わっても、記録を通して、私たちがここにいて、もがき、大切に思っていた証を残したいのです。

Q10. 世界中のクリエイターへ、今のあなたから届けたいメッセージをお願いします。

誠実であろうとすること。どんな技術もスタイルも、誠実さを超えることはできません。そして、創作のプロセスの中に喜びを見つけられたときにこそ、作品は本当に良いものになります。そのとき、人々は作品の中に、あなた自身を見ることができるのだと思います。

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