独自の視点で写真表現を追求する人物へのインタビューを通じて、創作の原点や思想、制作プロセスを掘り下げ、世界中のフォトグラファー・フォトメディアに新たなインスピレーションを届けます。。
イギリスを拠点に活動する写真家〈Gabby Laurent〉さんの創作の原点、そして大切にされている思想や視点。それらを今の時代に言葉としてアーカイブし残していくことは、これからの写真文化の一端を支えていくはずです。
今回の「10の質問」を通して、その表現がかたちになるまでのプロセスに迫ります。

@ James Proctor
Gabby Laurent
ロンドンを拠点に活動する英国のアーティスト。
Instagram : @gabulaurent
Q1. あなたの写真の原点と、現在の活動ついて教えてください。
私は昔から写真に興味がありました。子どもの頃には家族のアルバムを自分なりに編集し直していたことを覚えています。写真そのものが好きでしたし、写真が表しているものにも惹かれていました。今でも家族アルバムこそ最高の本だと思っています。
実際、現在の作品制作でも家族を題材にしています。今取り組んでいる『You Used To Be Connected』というプロジェクトでは、主要な写真のひとつとして息子のおへそを撮影した作品があります。

©︎ Gabby Laurent
Q2. あなたの作品において、最も大切にしている要素・テーマは何ですか?
ユーモアと悲劇、安全と安心といった対立するものの共存だと思います。
こうした矛盾や二面性は、作品で扱うテーマだけでなく、使用する素材にも一貫して表れています。
Q3. あなたの作品はどのように生まれますか?直感や偶然、現場での判断など、創作の裏側が知りたいです。
アイデアの芽生えはとても直感的なものだと思います。アイデアを受け取れる状態に自分を開いておくことはできますが、無理に生み出そうとしても難しいものです。

©︎ Gabby Laurent
最初は素材やテーマへの興味から始まることもありますが、作品を発展させていくにつれて、より思索的で知的なプロセスへと変わっていきます。
Q4. あなたが表現を続ける原動力は何ですか?
アイデアです。私は形にしたいアイデアを常に抱えていて、それらを実際に完成させたいという思いが創作を続ける原動力になっています。

©︎ Gabby Laurent
Q5. お気に入りの一枚を見せてください。その一枚に込めたストーリーや、選んだ理由も知りたいです。
新しいシリーズの作品で、息子のおへそを撮影し、暗室でテキストと重ね焼きしています。

©︎ Gabby Laurent
パーソナルでありながら、より普遍的な意味も持っている一枚です。母性的なつながりを語りつつ、かつて私たちがもっと自分自身と深くつながっていた、という感覚にも触れていると思います。
Q6. AI時代に、写真はどんな意味を持つと思いますか?
文脈によります。私にとって、写真とAIは別のメディアです。

©︎ Gabby Laurent
もちろん、片方がもう片方を模倣できることは理解しています。ただ、AIには“人の手”が介在する芸術性がなく、その点で私は強く惹かれません。
Q7. あなたに影響を与えているコミュニティや人々はいますか?
私に最も影響を与えているのは、自分自身のコミュニティです。子どもたち、パートナー、友人たち。そして私の周りにいる女性たちの存在は、とても大きな意味を持っています。彼女たちは私にとって非常に重要な存在です。
Q8. 他国の写真シーンやクリエイターに、興味や刺激を感じることはありますか?
数えきれないほどあります。70年代のCal Artsから出てきた作品、60 ~ 70年代の韓国のパフォーマンス・アート、そして60 ~ 70年代の世界各地のフェミニスト・アート。いま私はV&A(ヴィクトリア&アルバート)博物館とプロジェクトを進めていて、英国の「Feministo」と呼ばれるムーブメントを振り返っています。

©︎ Gabby Laurent
Q9. あなたが人生をかけてでも挑戦したいと考えていることについて教えてください。
とても美しく、そして難しい問いですね。私は「明晰さ」を追い求めたいと思います。自分の作品を通して、最も効率よく、最も明確に自分を表現できる状態。けれどそれは決して結論には至らないでしょう。死だけが、たぶん唯一の結論です。

©︎ Gabby Laurent
Q10. 世界中のクリエイターへ、今のあなたから届けたいメッセージをお願いします。
ソル・ルウィットがエヴァ・ヘスに宛てた手紙から。
考えるのをやめて、心配するのをやめて、振り返るのをやめて、疑うのをやめて、恐れるのをやめて、傷つくのをやめて、簡単な逃げ道を期待するのをやめて、もがくのをやめて、掴もうとするのをやめて、混乱するのをやめて… 自分を削り続けるのをやめて。やめて、とにかく“やれ”!

©︎ Gabby Laurent

