『Read Your Photography』では、ただ見るだけでは出会えない、写真の裏側にある“物語”に目を向けます。cizucuが主催する〈photo poster project〉や、SNSを通じて集まった作品とともに、その一枚が生まれた背景やその人だけの時間を、cizucuマガジンが12言語に翻訳し、世界中へ届けます。
物語を心にしまっておくのもひとつの選択。けれど、その想いは誰かの心に静かに触れ、まだ見ぬ感動を生むかもしれません。
今回ご紹介するのは、世界中から集まった5名の作品です。
それでは、唯一無二の物語を、そっと覗いてみましょう。
Kai Kim’s Story

Photo by Kai Kim
Kai Kim
📷 NIKON Df
📚 01
ケニア中部を旅しているとき、ひとりの少年がずっと私のあとをついてきていた。きっと彼は、私が何者なのか気になっていたのだと思う。ケニアの真ん中でアジア人を見ることはほとんどないし、機関銃のようなカメラを手にして、白人のグループと一緒に歩いている私は、彼の目にはとても奇妙に映っていたに違いない。もっと知りたいと思っていたのだろう。
彼は、私があるホストのところで立ち止まるまで、ずっとついてきた。周りを見渡していると、そこに彼がいた。ついに彼と目が合った。その瞬間、私の指は抗えなかった。シャッターを押し、彼の目を捉えた。そこには、好奇心と不思議さに満ちた眼差しがあった。
私にとって彼は、ケニアで出会った数ある子どもたちの一人に過ぎない。でも彼にとって、私は彼の人生の中で記憶に残るひとりの人物になったのだと思う。この瞬間を、できるだけ長く覚えていられたらいいなと思う。
cizucu編集部
小さな窓の向こうから、ひとりの少年の眼差しがまっすぐこちらへ届きます。暗い室内と眩しいほどの外光、そのコントラストが少年の表情をより鮮明に浮かび上がらせています。好奇心と警戒心が入り混じったような瞳には、言葉を超えた問いかけがあります。撮る側と撮られる側、異なる世界に生きるふたりが、この一瞬だけ確かに交差していると感じました。
Tito’s Story

Photo by Tito
Tito
📷 SONY α7 IV
📚 02
ネオンサインが夜の闇を切り裂き、湿った街路の地面には色とりどりの光が反射している。その光景は、まるで映画の中から抜け出してきたかのようだ。『Akira』や『攻殻機動隊』、あるいは『ブレードランナー』といった作品の中で繰り返し描かれる看板と雨は、幻想のようにも思えるが、多くの人の中にある「かつての香港」のイメージそのものでもある。
しかし、そうした豊かな色彩は次第に単一のLEDライトに覆われ、街は徐々に単調なものへと変わっていった。私にできることはただ、カメラを手に取り、かつてそこにあった美しい光景を一枚一枚記録することだけだった。
写真に写っているこの店は、かつて地元の人々に愛され、手頃な価格と質の良さで知られていた酒家だった。しかし残念ながら、昨年の半ばに閉店してしまった。だからこそ、店が消えてしまう前に、その失われゆく風景を記録として残したかった。
サイバーパンク映画の中で輝くような、あの色鮮やかな光景が決して虚構ではなく、かつて確かにこの街に存在していたことを証明するために。
cizucu編集部
閉店してしまった酒家のネオンが、雨に濡れた路面へ色とりどりの光を落としています。傘をさしたふたりのシルエットが、その光の海をゆっくりと渡っていきます。サイバーパンク映画の中にあるような風景は虚構ではなく、確かにこの街に存在していました。記録することでしか残せないものがある。そんな静かな使命感が、この一枚に滲んでいます。
Deep Chan’s Story

Photo by Deep Chan
Deep Chan
📷 NIKON Z f
📚 03
夕暮れ時のネイザンロード。通りには人々が行き交い、その表情は都市のスピードによって形づくられている。
その中で、この異国の男は交差点に佇み、どこか際立った存在感を放っている。風変わりな服装と静かな佇まいが、彼に独自の輪郭を与えている。
夕方の光が彼の顔を横切り、その輪郭の鋭さと、表情に宿る硬さを浮かび上がらせる。
薄れゆく自然光と、これから灯る街の光のあいだに捉えられた彼は、人々の流れに近いようでいて、どこかそこから切り離されているようにも見える。
この写真は、単に信号待ちをする一人の男を写したものではなく、都市の雑踏の中にふと現れる、距離、抵抗、そして自己の在り方を示す一瞬を捉えたものである。
cizucu編集部
夕暮れのネイザンロードに佇む男性の存在感が、この作品から強烈に伝わってきます。蛍光グリーンのキャップと赤いトップスいう鮮烈な色彩が、深い闇の中から浮かび上がり、都市の喧騒とは無縁の静けさを纏っている。光が顎の輪郭と唇の先の爪楊枝を鋭く切り取り、その無言の硬さが見る者を引き込んでいきます。人の波に紛れながらも、明らかに「ここではない場所」にいるような距離感。それこそがこの一枚の核心だと感じました。
最後に
いかがだったでしょうか。
ビジュアルだけでは語りきれない魅力に、私たちは目を向けていきたい。『Read Your Photography』は、写真の奥にある想いや感情に目を向け、ひとつの物語として受け取るための企画です。
写っているのは、ほんの一瞬です。けれどその奥には、確かに流れ続けてきた時間と、言葉にならなかった感情があります。
どうか写真を読むように、そして頁をめくるように、味わってみてください。
How to join
cizucuの〈Threads〉で、ふと投稿される “写真のテーマ” 。
そのテーマに合う “あなたの一枚” を、リプライするだけ。
参加条件はひとつ、cizucuのSNSをフォローです💙
ご応募いただいた作品の中から、
選ばれた方にはcizucu編集部より、メッセージをお送りいたします!
『Read Your Photography』では、cizucuが主催する〈photo poster project(ppp)〉の出展作品もご紹介しています。
pppは、あなたの国でも開催されているかもしれません。「写真が好き」という気持ちだけで繋がる出会いが、いま世界中に広がっています。

