はじめに
『Beyond the Subject』は、cizucuが主宰する、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテスト。応募作品の中から優れた作品をキュレーションし、プラットフォームとしての新たな才能の発掘、そして、コミュニティとしての支援を目的としています。
今回のテーマは、〈画角〉でした。
写真はその瞬間の視覚情報を切り取る媒体です。 一方で、その瞬間の前後がどうなったかや、フレームの外側がどうなっているか、視覚以外情報は届けることができず、その不完全さが想像力を働かせることにつながります。
写したい被写体をそのまま大きく写すのではなく、一部を見えにくくしたり、広くフレーミングしてみたり、視点を大きく下げてみたり。画角には「意図」が現れ、どういう印象の作品になるか、画角一つで大きく変化します。
皆さんの画角に込めた意図のこもった1枚を見せてください。 意図的に普段と違う切り取り方をしてみると新しい世界が広がっているかもしれません。
それでは、応募作品と受賞作品をご紹介いたします。
応募作品

Photo by Brandon Pinto
Brandon Pinto
cizucu編集部
窓の額縁の中にポツンと写る1人の人を写した一枚。私たちは主役を大きく写したくなりますが、この作品は圧倒的な「余白」を設けることで、自然の雄大さを強調しています。また、額縁構図になっていることで、この枠の中で進むストーリーが想起されて、よりこの一枚に情緒を与えているようです。

Photo by R_Y_O
R_Y_O
坂を下る
📷 FUJIFILM X-Pro2
cizucu編集部
都電荒川線の電車と線路を写した一枚。電車を正面から捉え、まっすぐ伸びる線路を奥まで画角に収め奥行きを強く感じます。電車の少しレトロな雰囲気の見た目が夕日に照らされた温かみのある色味とマッチしており、どこか懐かしさを感じる情緒あふれる一枚になっています。

Photo by けいた
けいた
奥のずっと奥
📷 NIKON Z f
cizucu編集部
繊細なシルエットで不規則に覆っている木の枝。そしてその隙間に、静かに佇む三日月。画面全体に広がる枝の複雑な模様が、中央の月を際立たせる役割を果たしており、見る人をその神聖な空気感へと引き込みます。キャプションにある通り、手前の枝のフレームがあることで、奥行きが意識され果てしない距離があるものの雄大と輝く月の偉大さが強調されているようです。
受賞作品

Photo by Takeshi
Takeshi
寄り引きだけでなく、写す角度の工夫や背景の単純化を組み合わせることによって、「これはなんだろう?」という問いかけを行うことができる。
cizucu編集部
一本の街灯を真下から捉えた一枚。真下から煽るような画角で撮影されたこの街灯は、多くの人にとって見慣れたものではなく、どこか幾何学的な抽象画のような、感覚に訴えてくる違和感とその中に感じる美的な構造に見えてきます。特別珍しくないものであっても、画角の工夫や切り取り方次第で見え方が大きく変化する圧倒的なセンスを感じる一枚でした。

Photo by Yudai Fujisawa
Yudai Fujisawa
cizucu編集部
威圧的なまでに巨大な建築物と、その下を行き交う小さな通行人を捉えた一枚。この作品の素晴らしさは、「大きさと小ささ」の対比を強調した画角にあります。建物の壁面が描くダイナミックなラインと、そこに現れる小さな人間の存在。ストリートスナップならではの臨場感とともに、「巨大都市における人間の営み」というドラマを、一つの画角の中にドラマチックに収めた、見応えのある作品です。中央に配置されたやけに高い街灯も全体に秩序を与える役割としていいアクセントになっています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
よくある被写体や、技法を使った一枚であっても〈画角〉を挑戦的なものにしてみると、その一枚が見せる意味合いや、美しさは大きく変わってきます。
自分で試行錯誤をしながら新たな画角を探したみても良いですが、他の人の作品からインプットしてみても発見が多くて楽しいかもしれません。
きっとみなさんの良いインスピレーションにつながるはずです!


