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Cover photo by まおち
写真を愛するクリエイターたちが語る、カメラとそのストーリー。「愛機」という存在には、それぞれの人生観や価値観が映し出されます。今回の連載では、彼女の人生に鮮やかな色を添えた〈SIGMA DP2 Merrill〉を愛用するまおちさんが登場。
〈SIGMA DP2 Merrill〉は、2012年に〈SIGMA〉が発売した高画質コンパクトデジタルカメラ。APS-CサイズのFoveon X3センサーを搭載し、独自の三層構造により1画素ごとにRGBの色情報を取得することで、他のセンサーにはない深い階調と立体感のある描写を実現します。
ここ10年ほどで「エモい」という言葉がすっかり定着し、世間は今、空前の「平成ブーム」に包まれています。そんな今だからこそ、“あえてカメラを持つ”というこだわりに価値を見出す人が増えているように感じます。
平成時代、中高生だった私もその流れにしっかり乗っていたひとり。当時は、現行モデルの平成コンデジで友人や旅行先の風景を気軽に撮っていました。

Photo by まおち
改めてあの懐かしい平成に触れたくなり、マニュアルフォーカスやカメラ設定を一から学びたくなって、本格的にカメラを始めました。そして出会ったのが〈SIGMA DP2 Merrill〉です。
レンズメーカーとして知られる〈SIGMA〉が2012年に発売した〈SIGMA DP2 Merrill〉。通称“メリル”。
私がこのカメラと出会ったのは、2023年の年末のことでした。
このカメラを一言で表すと「少しマイナー、かなり癖強」。カメラ初心者が選ぶには少々ニッチな選択だったようで、周囲からもそう言われることが多々ありました。
ですが、このメリルとの出会いこそが、私をカメラと写真の世界に引き込んでくれるきっかけになりました。

Photo by まおち
メリルは、写りも操作性も本当に独特なカメラです。扱いにくい緑被り、ISO 400以上になると目立ちやすいノイズ、そして手ぶれ補正はなし。バッテリーの消耗は早く、RAWの書き出しにも数秒かかります。
あらゆる「癖の強さ」があるにもかかわらず、それでも何度も持ち出して撮影したくなるのは、思わずため息が出るような解像感と“深み”があるからです。
まさしくメリルの描写は、私が残したい“その時感じた空気”を、そのまま閉じ込めてくれるようなもの。無機質な建物や岩場、植物はしっとりと深く描写される一方で、晴れた日の海や山々、人々の表情はあたたかく、柔らかく写ります。

Photo by まおち
そして、最初は扱いづらかった緑被りも、撮るたびに“メリルらしさ”として愛着が湧いてくる。
“コンデジ以上の解像度”を持ちながら、“アナログ的な不便さ”をも楽しめる局面があるこのカメラは、本当に癖になる存在です。
所有欲を満たし、不便さすらも愛せる。メリルは、そんな可愛い“じゃじゃ馬カメラ”なんです。
普段はフォトウォークをしながら、街中で人々の生活を感じる写真を撮ることが多いです。そんな写真の中にふと感じる、あたたかみ。それに、なんだかキュンとしてしまいます。
自分のこの“好き”の感情を深く辿っていくと、自然と生まれ故郷である淡路島の風景が重なっていることに気づきました。幼い頃に親しんだ広大な海や山々、自由だった幼少期の記憶、そして人々のやさしさ。
そのすべてに、簡単に「エモい」とは言いきれない、もっと深い“エモさ”を感じているのだと思います。

Photo by まおち
撮影のときに感じる、ときめき。その気持ちを、写真というかたちで切り取り、残し、誰かに見てもらう。そして、誰かが私の“好き”に共感してくれる。
そんな体験があるからこそ、私はもっと自分の“好き”を大切にできるのだと思います。

Photo by まおち
自分の撮りたい写真や、残したいシーンは日々少しずつ変化し、進化していきます。それでも、〈SIGMA DP2 Merrill〉はそんな私の人生に、変わらない鮮やかな色をそっと足してくれるんです。

Photo by まおち
これからもメリルとともに、自分の“好き”を、ありのままに表現し続けていきたいです。

まおち
カメラが趣味のイラストレーターです。
cizucu:まおち
Instagram:@maochi_snap

116 マガジン
愛機との出会いや思い出、忘れられないエピソードをクリエイターが自由に綴る連載企画。愛機を選んだ理由や使い続ける魅力など、カメラ好きなら思わず共感する物語をお届けします。