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2024.09.18

エミー賞で視覚効果賞を受賞した『SHOGUN 将軍』の映像表現に迫る | Release #312

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Cover photo by RYUURI

歴代最多の18部門でエミー賞を受賞した『SHOGUN 将軍』は、独自の内容や世界観で圧倒的な魅力を放ちました。中でも「視覚効果賞」を受賞した映像は、江戸時代の日本を異邦人の視点から描き、観客を深く引き込んでいます。

American Cinematographer の監督らに対するインタビューによると、この壮大な物語の裏側には、撮影チームの細やかなこだわりがありました。今回は、その技術的な工夫に迫ります。

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Photo by しらしぐ

ぐるぐるボケ効果と被写界深度

撮影チームは、ソニーのVeniceカメラとHawk Class-Xアナモフィックレンズを活用し、独自の映像効果を生み出しています。特に注目すべきは「ぐるぐるボケ(渦巻きボケ)」と呼ばれる効果で、背景が渦を巻くようにぼやける現象です。

この効果により、視線を中心の被写体に集中させ、物語の異邦人視点を強調しています。この技術は、19世紀のペッツバールレンズに由来し、独特な深みと没入感を加えています。被写界深度の浅い撮影も、視覚的にインパクトのあるシーンを演出する重要な要素となっています。

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Photo by 好 | Kodai Yamashita

自然光と色彩設計

撮影では、自然光を活用し、ライティングを最小限に抑えることで、リアルな17世紀日本を再現しています。障子越しの光や蝋燭の微かな照明を駆使し、空間に奥行きとリアリズムを与えました。

さらに、控えめなアースカラーを基調とした色彩設計により、時代の雰囲気を保ちながら、重要な場面では鮮やかな色が使われ、感情の高まりを視覚的に際立たせています。このシンプルな色彩設計が、物語の緊張感を高め、観客を深く引き込む要因となっています。

カメラワークと構図の工夫

『SHOGUN 将軍』では、カメラの動きや構図もシーンごとに異なり、登場人物の感情を巧みに表現しています。例えば、戦闘シーンでは手持ちカメラが用いられ、アクションの激しさと臨場感を強調。

一方で、静かな場面ではクレーンやドリーを使い、穏やかなカメラワークで登場人物の内面を描き出します。特に、低いアングルで人物を捉えることで、伝統的な日本の美学を尊重しつつ、登場人物同士の視線の交錯や緊張感を引き立てています。

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