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2023.04.23

自然を感じ、記憶を紡ぐ | 島崎康輔への10の質問 | ISSUE #5

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世界中のクリエーターの感性や思考を深掘りする『ISSUE』。新たなインスピレーションのきっかけに。
『ISSUE #5』では、作家・島崎康輔さんへ10の質問を通して、根幹を形成する経験・体験や作家としての感性に迫りました。

Q1. あなたについて

島崎康輔です。1997年の6月2日生まれです。高知県出身で、大学生までは写真とはかけ離れた生活をしていました。

大学1年の夏に、彼女と京都に旅行に行きました。その際、彼女がお母さんから借りてきていたミラーレスの一眼レフカメラのシャッターを切った瞬間がカメラを取り始めたきっかけです。その感覚が面白くて、徐々に写真の勉強を始めました。最初は、写真家の方々から調べ始めましたが、その後にカメラや写真の歴史を学び出し、どっぷりと写真の世界に入り込んでいきました。

現在は、ライフスタイルの撮影をメインとしながら、コンテンポラリーアーティストとしてもギャラリーを通して個展を開催するなど積極的に活動の幅を広げています。

自分のホームページにも記載していますが、一貫したテーマとして掲げているのは「場所の匂いと記憶の繋がり」です。小さい時から、旅行を通してある特定の場所に行った際に、その場所が持つ「気」というものを肌で感じるということが多々あり、その感覚は大人になった現在でも残っています。肉眼では直接見えない、その抽象的イメージを僕は「場所の匂い」と定義しました。例えば、危険な場所では、なにか危険な匂いがするみたいな。そういう意味では、京都旅行の際の匂いも覚えています。

あとは、自然やアニミズムといった思想にも惹かれます。田舎暮らしだったこともあり、常に周りには自然が多かったので、幼い頃の環境が現在の作品制作に影響してるかもしれません。東京に来てから閉塞感を感じることが多くなりました。自然と都会のギャップを感じ、人間が本来持ってる自然に対する尊敬の眼差しや優しさを写真で表現したいとも考えています。

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Image by Shimakou

Q2. 初めて写真を撮った記憶

あんまり覚えてないかも。
小さい頃も写真を撮ったことはあったかもしれないが、なかったかもしれないです。

ただ、写真というよりは、ビデオカメラの方が触れる機会は多かったかも知れません。父親がよくビデオカメラを回していたので、カメラよりもイメージが強いです。

先ほども話しましたが、きっかけは、大学生1年生の京都旅行の時。そこから、自分の写真への想いが膨らみました。

小学校時代はドッジボール、中学・高校の6年間は野球とかなりアウトドアな性格でしたね。それもあって、あまりカメラには触れてこなかったかもしれません。ただその影響もあってか、今でも制作で家にこもる時以外は、常に外にいます。

Q3. 機材へのこだわり

結論から言うと、昔はこだわりがあったけど、この1ヶ月くらいでなくなりました。
究極、自分の肌身に合うかどうかが重要だと感じています。カメラを持った時や、シャッターを切った時の感触が、自分の体に直に伝わってくるかどうか。その感覚は大切だと思います。

あとは、カメラは生活の中での相棒だと考えているので、ずっと使っていくと思ったカメラを選びたいとは考えています。あと強いて言うなら、重さと軽さの両方のバランスが必要です。それもあって、ミラーレスは辞めました。自分自身の感覚には合わなかったです。野球の影響で手が大きいので、グリップが小さいものは余計に疲れてしまったというのも原因として挙げられます。

あと目が悪いのもあって、光学的で見えやすい一眼レフカメラの方が、体に慣れてるのもあるかもしれません。作家として使うこともありますが、仕事用には重いカメラとコンデジを使うことが多いです。もともとは、Nikonの〈D810〉を使っていて、今は〈D850〉が相棒です。

作家活動では、マニュアル式の単焦点レンズの〈Voigtlander〉を付けることも多いです。Voigtlanderの〈ULTRON 40mm F2 Aspherical SL IIs〉で、軽いところが魅力です。

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Image by Shimakou

Q4. 最近聴いた音楽

最近ハマってるのは、Fuji Taitoの『Crayon』です。前からずっと聴いてるのは、KID FRESINOの『incident』と『Way too nice』です。

20代に東京で生きる自分自身にとっては、HipHopやRockなどの強さが合っているなと日々感じています。

Q5. インスピレーションを受けたクリエーター

いっぱいいるかもしれないです。
ただ一つ完全に言えるのは、彼女と家族です。自分自身に影響を与えているのは、絶対に彼女と家族だと思います。

作品を制作する上で、自分の生活の根幹にあるこの2つの存在は欠かせないなと。大学生まではこの感情はなかったんですが、カメラ・写真を通してこの感覚に至りました。

著名な方では、山尾三省さんや鈴木大拙さん、坂本龍一さん、宮崎駿さんを尊敬しています。日本人としてのあるべき姿や自然を大事にするその姿を、彼らから強く感じます。

人間本来の優しさを持ってる人が好きなのかもしれません。

Q6. 今後使ってみたいカメラ

今、使用したいと思っているカメラは、Leicaです。
元々はM3を使用していたのですが、フィルムの価格の高騰もあり泣く泣く手放してしまいました。しかし、人の手によって一つ一つ丁寧に作られている点や、重厚感、使っていくと肌に馴染んでいくという魅力をもう一度味わいたいという思いが最近とても強いです。

また、Leicaの中でも1番新しいものも使ってみたいなと。Leicaの究極が詰まってる最新機種に、触れてみたいなと感じます。

Q7. 好きな撮影のシチュエーション

真夜中のカフェでしっぽりとコーヒー飲んでる人や路地裏でぼうっと立ってる人とかを撮影することが好きです。都会の喧騒から離れた静かな場所が好きです。あともちろん、大自然も好きです。

あと最近は、路上に咲く健気で小さな花に目が行くことが多いです。愛犬が亡くなった時、家に知らない一輪の花が急に咲いたんです。驚いたんですが、それがきっかけかもしれません。

小さくても一生懸命生きている。声は発さないけど頑張って生きている。そんな姿に、目が留まってしまいます。

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Image by Shimakou

Q8. イケてないなと思うこと

自分の利益ばかりを考えることはいけてないなと、つくづく思います。

僕は、常に相手と対等な立ち位置で、自己の利益を最初に考えて行動しないことを意識しています。

あとは、自分とは違う意見を話された時に、否定しない人。要するに、イエス・ノーをはっきり言えないということですかね。本気で自分に向き合ってくれていない気がしてしまいます。

Q9. 普段服を買う場所

最近、服をあまり買ってないかも。

ただ、今自分が撮影を担当している、オーダースーツのセレクトショップ「Auba Jaconelli(アウバ ジャコネッリ)」はお世話になっています。最近はジャケットスタイルが多く、夏場はポロシャツに綺麗なジーンズ、ローファーを合わせて、昔のフレンチの雰囲気を出すのが好きです。

基本的に、オンラインでは買い物しません。自分の目で見ていいなと思うものは、どんなブランドでも買います。

Q10. お気に入りの設定について

作品を制作する上では、基本的にはないかもしれません。ただ、1番大事にしてるのは、ストロボをたかないこと。自然が好きなこともあって、自然光を入れることを1番大切にしています。

空間を構成するその一瞬を切り取る嗅覚が自分の得意な領域なので、その場所で差し込む自然の光は大切です。商業的な写真になると、ライティングを組んだりもしますが、人間の作った人口の光はあまり入れたくないですね。

iPhoneで撮影したお気に入りの一枚

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Image by Shimakou

INFORMATION
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島崎康輔

しまさき・こうすけ/「場所の匂いと記憶のつながり」をテーマに、特定の場所が持つ肉眼では直接見ることのできない匂いとそこで自身が感じた感情を写真を用いて詩的に表現する。 その根底には、自身が生まれ育った故郷で培った自然への畏敬の念があり、 特に色彩と光と影のコントラストを意識し作品を日々制作している。

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