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2023.04.02

写真家・美容師として生きる | 鈴木秀総への10の質問 | ISSUE #4

世界中のクリエーターの感性や思考を深掘りする『ISSUE』。新たなインスピレーションのきっかけに。
『ISSUE #4』では、フランス国民美術協会金賞をはじめ、数々の受賞歴を誇る鈴木秀総さんへの10の質問を通して、撮影に対する考え・芸術への向き合い方に迫りました。

Q1. あなたについて

1971年生まれ。浜松市出身、豊橋市在住、本業は美容師。

趣味で続けている写真は、「National Geographic US」や「LensCulture」などで紹介されたのをきっかけに海外のメディアに注目され、世界各国で多数紹介されました。

2016年にはフランスの伝統ある美術団体に招待展示され、フランス国民美術協会の金賞を受賞する。会場はルーブル美術館。国内では、月刊文藝春秋のグラビアページを13ページにわたって紹介されました。

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Q2. 初めて写真を撮った記憶

初めて撮ったという記憶は鮮明には覚えていませんが、多分子供の頃に使った〈写ルンです〉と言う簡易的なカメラだと思います。

カメラを本格的に始めるきっかけになったのは、2013年にオリンパス社のフォトコンテストで金賞を受賞したのがきっかけでした。
その頃、勤め先の社員旅行でアンコールワットに行く計画があり、せっかく世界遺産に行くならと、OLYMPUSの〈PEN〉を購入したのが始まりでした。

Q3. 機材へのこだわり

特にカメラやレンズに強いこだわりがあるかと言えば、特にはないと思います。とは言え、自宅にあるカメラ保管庫には、メインで使用するCanon 〈5D Mark Ⅲ〉 ・〈6D〉、FUJIFILM 〈X-Pro〉、OLIMPUS 〈OM-D〉・〈PEN〉、LEICA 〈X2〉、 ZEISSのレンズなど、各カメラごとのレンズを合わせると35本ぐらい保管されています。

2014年から2018年頃は、「National Geographic US」で写真賞を受賞することが多数あったので、作品的にはネイチャー系や日本の祭などの撮影がしやすいレンズやフィルター・三脚などを使っていたと思います。

その後、パリに何度か招待され、合同展や個展をする経験が作風の変化につながりました。どちらかと言えば絵画風というか、アートよりな作品作りにシフトしていったので、レンズはオールドレンズを主体に鮮明に映らない描写を好むようになっていきました。時には、レンズの前にラップを巻いたり、透明な下敷きを使いわざと鮮明に映らないように工夫をして撮影したりしていました。

19世紀に入りカメラという道具が生まれ、写実的だった肖像画や絵画も時代の影響を受け、印象派絵画や抽象画など芸術の方向性は大きく変化をしていきました。現代も同じようにスマートフォンの普及で気軽に動画を撮影して投稿できるようになり、写真の役割は少しづつ多様化していると感じています。

どれが正解ではなく、各個人が好む表現をし易いものを使用すれば良いので、ハイスペックなものも然り、チープなものも然り、なんでも良いと言うのが機材のこだわりになっています。

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Q4. 最近聴いた音楽

毎日朝から晩まで、職場で流れている音楽は海外のR&Bなので、海外で流行している最新のR&Bを頻繁に聞いています。

Apple Musicの「R&B ヒッツ」や「R&B ナウ」は、お勧めですよ!

Q5. インスピレーションを受けたクリエーター

アンドレアス・グルスキー。
ドイツの現代写真を代表する写真家です。アンドレアス・グルスキーによる日本初の個展が、2013年に国立新美術館で開催されました。

当時史上最高額といわれた『ライン川 Ⅱ(Rhein II)』の作品を鑑賞したのがきっかけでした。会場に入って彼の作品の大きさに圧倒されながら鑑賞しましたが、とても普通な写真ばかりだったので最初は良さが全くわかりませんでした。
会場を観覧しながら出口に近づく頃になんとも言えない違和感を感じるようになり、会場を再度周り作品を疑いながら鑑賞するようになり、私は、あることに気がつきました。

「彼の作品は全て実在しない風景なんだ」と。

あまりにも大きなプリントなので編集の粗が目立つはずですが、とても自然でリアリティーある写真の編集、それはまさに「写真=真実」と思い込ませるものでした。会場にいる全員が彼の作品の中に入って真実でないものを真実だと思い込んで鑑賞している空間に私はとても興奮したのを今でも覚えています。

彼の作品が制作された年を見ると、パソコンのスペックも高くない時代に、あれだけの編集技術があるのは、本当に凄いことだと感じました。それから写真の編集に興味をもち、編集する楽しさを学びました。私の編集技術の基礎がここにあると思います。

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Q6. 今後使ってみたいカメラ

最新のカメラも古いカメラも使ってみたいです。

あくまでもペンや筆と同じように作品を創作するための道具なので、それぞれに特徴や癖があると思うので、色々触ってみたいですね。

Q7. 好きな撮影のシチュエーション

わりと好んで撮影していたのは雨の作品。
自分の感覚なので、なんとも言えませんが、雨の作品は鑑賞する人たちの内面を見つめ直すきっかけに繋がると考えていたから。

多くの人は、天気が良く晴れている日は、外に出かけて遊びに行ったりして気持ちやエネルギーが外に向かいますが、雨が降り天気が悪い時は、家にこもりテレビを見たり読書をしたり、気持ちやエネルギーは内に向かい、自分自身を見つめ直す時間ができるような気がしています。

雨の作品を見た人たちが、自分自身と向き合う時間につながってくれたら良いなと思い作品を作っていました。

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Q8. イケてないなと思うこと

もう行くことがあまりないですが、俗世間一般に言われる絶景スポット。
そこで場所を譲り合うこともなく自己満足を満たす事だけを優先して、周りに配慮できない方達を見かけると、正直嫌だなと感じてしまいます。撮り鉄も然り。

写真の上手い人&好きな人は、絶景スポットでない場所でオリジナリティ溢れる作品を撮って世の中の多くの人たちに影響を与えてください。どこかで見るようなありふれた写真よりも作者の特徴や作風が明確に伝わる写真が素敵だと思います。

SNSには上手な写真が溢れています。皆さん使用するカメラもレンズも編集技術もレベルは高いと思いますが、どれも記念写真のように同じような構図や場所だらけですからね。周りに配慮して迷惑をかけないようにして、オリジナリティーある写真を目指して欲しいです。

そして、アウトプットはモニターだけでなくプリントにも拘ってレベルを上げてもらいたいです。パリやニューヨークで大判プリントで展示をした経験上、大きく引き伸ばした写真は、編集の上手さが下手さが明確に伝わります。
小さな画面で満足することをやめて、B0ぐらいには耐えれる編集をして写真のクオリティを上げましょう。すごく勉強になりますよ。

Q9. 普段服を買う場所

普段忙しすぎて、ZOZOTOWNにお世話になっています。いつもありがとうございます。

Q10. お気に入りの設定について

とくに決まった設定ってないですね。その時の条件や撮影状況で異なるので。それよりも、撮影前にどのようなイメージの写真を撮るのか明確に考えてから撮影をしています。

料理もそうでしょ?
何を作るか、どんな味付けにするか考えてから料理をしなければ美味くできませんよね。

私の仕事もそう。美容師の仕事も髪型をイメージしてからカットするから仕上がりが美しく仕上がります。カットしながら髪型を考えていたら切りすぎちゃったり、ぐちゃぐちゃな髪型になっちゃいますからね。

カメラはシャッターを切ればとりあえずなんでも写ってしまうので、ある程度イメージをすることの大切さを学んだ方が上達に繋がるかと思います。

iPhoneで撮影したお気に入りの一枚

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INFORMATION
鈴木秀総

すずき・ひでのぶ/1971年生まれ、愛知県豊橋市在中。幼少期より絵画に親しみ、2013年にデジタルフォトグラフィによる写真と絵画の狭間を創作する。感動は記憶に残るを原点に創作活動を行う。

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