『Read Your Photography』では、ただ見るだけでは出会えない、写真の裏側にある“物語”に目を向けます。cizucuが主催する〈photo poster project〉や、SNSを通じて集まった作品とともに、その一枚が生まれた背景やその人だけの時間を、cizucuマガジンが12言語に翻訳し、世界中へ届けます。
物語を心にしまっておくのもひとつの選択。けれど、その想いは誰かの心に静かに触れ、まだ見ぬ感動を生むかもしれません。
今回ご紹介するのは、世界中から集まった3名の作品です。
それでは、唯一無二の物語を、そっと覗いてみましょう。
sunnycyl’s Story

Photo by sunnycyl
sunnycyl
📚 01
2020年、金色の翼をつけた天使を撮影しました。
撮影の前、その翼は突然壊れてしまいました。締め切りが近づくなか、友人が修復してくれたことで、天使はもう一度翼を広げられる姿になりました。
その出来事も含めて、この作品は「壊れても、また立ち上がること」を表しているように感じます。
撮影の日、光の中でシャッターを切った瞬間、その姿は写真の中に残されました。
そして2026年春、6年の時を経て、この物語はもう一度見られる場所へ戻ってきました。
自由とは、どこかへ行くことだけではありません。
翼を広げられるようになったあとも、自分の意思で「ここにいる」と選べること。
その強さもまた、自由なのだと思います。
cizucu編集部
大きな金色の翼を背負い、海辺に立つ姿には、静かな強さと孤独が同時に宿っています。壊れた翼が修復され、再び広げられるようになったという物語を知ると、この作品はただ美しいだけでなく、傷ついたあとも立ち続ける存在の象徴として見えてきます。翼は飛び去るためだけのものではなく、自分が選んだ場所に立つための力にもなる。6年の時間を越えて戻ってきたこの一枚は、自由とは逃げることではなく、自分の意思でここにいると決めることなのだと伝えてくれます。
hs_lsh09’s Story

Photo by hs_lsh09
hs_lsh09
📚 02
人はよく、「良い写真は何度でも見返したくなる」と言います。
けれど私にとって忘れられない写真とは、完璧だからではなく、その瞬間の自分を思い出させてくれる一枚です。
この写真には人物も壮大な風景もありません。
ただ、階段の先に広がる青空を見上げた景色が写っているだけです。
シャッターを切ったときは、その光の美しさに心を奪われただけでした。
けれど後になって気づきました。
心に残っていたのは空ではなく、その景色を見上げていた「あの日の自分」だったのです。
人生は、この階段のように先が見えないことばかりです。
それでも歩みを止めなければ、いつか必ず光に出会える。
この写真を見るたび、私はあの日の自分を思い出します。
前へ進み続ければ、美しさはきっと、その先で待っている。
cizucu編集部
暗い階段の先に、四角く切り取られた青空と緑が広がる構図が印象的です。人物も大きな出来事も写っていないのに、そこには「見上げた瞬間」の気配がしっかり残っています。先の見えない階段を進む不安と、その先に差し込む光の美しさが重なり、人生の途中でふと立ち止まった記憶を思い出させてくれます。写真に残っているのは空そのものだけでなく、それを見上げていた自分自身。前へ進むことでしか出会えない景色があるのだと、静かに背中を押してくれる一枚です。
콩잎무침’s Story

Photo by 콩잎무침
콩잎무침
📷 NORITSUKOKI EZ Controller
📚 03
この写真を見るたびに、彼女に選ばれた日のことを思い出します。
輝く彼女は、私の想いを受け入れてくれるのだろうか。
そんな不安を抱えていた、あの日。
済州島でカメラを構え、椿の木々の中に立つ彼女をファインダー越しに見た瞬間、私は「光は平等ではない」と思いました。
降り注ぐ光は、まるで彼女だけを選び、その姿を美しく照らしていました。
本来、光に意思はありません。ただそこに降り注ぐだけの存在です。
それでも、レンズの中の彼女は、まるで光に選ばれた存在のように見えました。
その姿は、かつて私が彼女に選ばれた日の記憶と重なります。
表向きには、私が先に想いを伝え、彼女を選んだことになっています。
でも本当は、彼女の放つ光が私に彼女を選ばせたのだと思っています。
闇にとって光は特別な存在です。自然と惹かれ、その中へ入りたくなる。
私は彼女に選ばれ、その光の中へと歩み入りました。
この写真を見るたびに、私はあの日のことを思い出します。
cizucu編集部
暗がりの中に差し込む光が、ひとりの存在をそっと浮かび上がらせているように見えます。作品全体の多くを占める深い影があるからこそ、椿の色や緑、そこに立つ彼女の気配がいっそう強く感じられます。「光は平等ではない」という言葉の通り、この写真の光は偶然でありながら、まるで彼女を選んで降り注いでいるようです。誰かに惹かれる気持ちや、選び選ばれる記憶が、光と影のコントラストの中に静かに閉じ込められた一枚です。
cizucu編集部
いかがだったでしょうか。
ビジュアルだけでは語りきれない魅力に、私たちは目を向けていきたい。『Read Your Photography』は、写真の奥にある想いや感情に目を向け、ひとつの物語として受け取るための企画です。
写っているのは、ほんの一瞬です。けれどその奥には、確かに流れ続けてきた時間と、言葉にならなかった感情があります。
どうか写真を読むように、そして頁をめくるように、味わってみてください。
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