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AIが奪う「記録」の自由。メモリーカード価格高騰の真実 | Focus #627

By cizucu ·

AIが奪う「記録」の自由。メモリーカード価格高騰の真実 | Focus #627

Cover photo by Amo

フォトグラファーやビデオグラファーにとって、「瞬間を記録する」という当たり前の行為が、突如として贅沢なものになりつつあります。ここ数ヶ月、メモリーカードの価格は驚異的な上昇を見せており、主要なモデルでは価格が3倍にまで跳ね上がる事態となっています。〈SanDisk〉などのフラッシュメモリメーカーの株価が高騰する一方で、出口の見えない「メモリ危機」に直面しています。

この混乱の引き金となったのは、皮肉にも現代の最先端技術であるAI(人工知能)です。〈Google〉、〈Meta〉、〈NVIDIA〉といった巨頭が運営するAIデータセンターは、膨大な量の高帯域幅メモリ(HBM)やエンタープライズ向けSSDを必要としています。これに応えるため、〈Samsung〉や〈SK Hynix〉、〈Micron〉といったメーカーは、利益率の高いサーバー向け製品へ生産ラインをシフト。そのあおりを受け、SDカードの主原料であるコンシューマー向けNANDフラッシュの供給が極端に絞られているのです。

Photo by Yuchen Chiu

構造的な供給不足と価格の暴騰

今回の値上げは、一時的な変動の域を超えています。小売データによれば、昨年10月に約17ドル(約2,500円)だった〈SanDisk Extreme 128GB microSD〉は、現在では40ドル(約6,000円)近くに達しています。特に1TBや2TBといった大容量カードは、1ユニットあたりのNANDチップ使用量が多いため、その影響をより深刻に受けています。

Photo by つばさ製作所

2026年初頭には、プロ向けメーカーの『ProGrade』が日本国内で最大123%もの大幅値上げを断行し、業界に激震が走りました。市場アナリストの予測では、2026年内の生産枠はすでに企業向け需要で埋まっており、需給が緩和し始めるのは2027年以降になるとの見方が強まっています。

賢く生き残るための選択

2026年いっぱい、この「高値横ばい」の状況が続くことを前提に、私たちは現実的な対策を講じる必要があります。

  • 必要な容量の早期確保: 1TB以上の大容量カードやCFexpressが必要な場合は、さらなる高騰リスクを考慮し、早めの確保が賢明です。
  • 運用の見直し: 「RAW+JPEG」の同時記録を控える、あるいは不要な連写を抑えるなど、物理的な枚数を増やさないワークフローの最適化を。
  • 偽物への警戒: 価格が高騰すると、マーケットプレイス等で「安すぎる偽物」が急増します。大切なデータを守るためにも、信頼できる直販店や量販店での購入を徹底してください。


道具の価値が変わる時代。今はAIの進歩という大きなうねりの中で、私たちがどう賢く「記録」を続けていくかが問われています。

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