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かつてのデジタルセンサーは主に画質の向上を目指して進化してきました。しかし近年、カメラ技術のもう一つの要として「スピード」が注目されています。
中でも積層型CMOSセンサーは、構造そのものを変えることで高速化を実現した革新技術。スポーツ、野生動物、ストリートスナップなど、瞬間を逃さず捉えたい撮影スタイルに最適です。

Photo by 高野ぴえろ
圧倒的スピードを可能にする構造
積層型CMOSセンサーは、光を受けるフォトダイオード層と、信号を処理する回路層を縦に分離し“積層”することで、データの読み出し距離を短縮。
これにより、従来より格段に高速な処理が可能になり、秒間30コマ以上の連写や、ファインダーのブラックアウトなし撮影が実現します。ローリングシャッター歪みの軽減にも貢献します。
適した撮影ジャンルと必要性の判断
この技術が活躍するのは、被写体が激しく動くシーンです。例えばスポーツイベント、モータースポーツ、鳥の飛翔、動きの速い動画撮影など。これらではセンサーの読み出し速度が画質に直結します。

Photo by kawase45
一方で、静物や風景の撮影が中心であれば、積層型でなくとも十分な画質が得られるため、撮影スタイルによって導入の優先度は変わります。
進化する積層型CMOSセンサーの可能性
現在では積層型センサーに高速DRAMを内蔵したモデルも登場し、AIによる被写体認識AFや、さらなる連写性能、動画の滑らかさにも寄与しています。今後はグローバルシャッターとの融合など、新たな展開も見込まれます。

Photo by boulogne2
高速かつ正確な画像処理を必要とする撮影分野では、積層型がますます主流となるでしょう。