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2024.05.08

写真を見て 時間が長く感じることはありませんか | Knowledge #40

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cover image by はたらくじん

日々の体験は、時間の感じ方に大きな影響を与えます。「楽しいときは時間が飛ぶように過ぎる」という言葉が示すように、体験の内容によって時間が速く感じたり、遅く感じたりします。

最新の研究によると、特に印象深い写真を見ることで、時間が実際よりも長く感じられることがあるそうです。この現象は、ジョージ・メイソン大学の研究チームが科学的に証明しました。

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Image by eriko

記憶に残る画像はじっくり見ている

実験では、参加者に様々なシーンの写真を短い間隔で見せました。

参加者に異なるシーンの画像を300ミリ秒から1秒の間表示し、その画像を見ている時間がどれくらいに感じたかを測定してもらいました。興味深いことに、広大なシーンや印象的な画像を見た時は時間が「長い」と感じられる一方で、散らかった部屋などの画像では時間が「短い」と感じられました。これは過去の研究とは異なる結果で、記憶に残りやすい画像ほど時間感覚を拡張する傾向にあることを示しています。

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Image by Ryuji

記憶に残る画像と時間感覚

さらに、研究チームは参加者を再び実験室に招き、以前見た画像をどれだけ覚えているかをテストしました。結果、時間が長く感じられた画像は、より正確に記憶されていることが確認されました。つまり、画像を見た際の「長い」と感じた時間が、実際にその画像の記憶を強化していたのです。

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Image by kazikr

なぜ記憶に残る画像は時間が長く感じられるか

この現象をさらに解析するため、研究チームは記憶に残る画像をニューラルネットワークで処理しました。その結果、記憶に残りやすい画像ほど迅速に処理されていることが判明しました。これは、脳が重要な情報をより効率的に処理しようとするため、結果的に時間感覚が拡がると考えられます。

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Image by dede dos

写真の持つ特別な力

この研究からわかるのは、美しい写真をじっくりと見ることが、ただ楽しいだけでなく、脳にどのような影響を与えるかという点です。写真は瞬間を捉えるだけでなく、その瞬間を私たちの記憶に長く留める可能性を持っています。写真は時間を形作るツールとしてもその価値を持っているのです。