
スマートフォンが変えた写真の美学
スマートフォンの普及により、私たちの写真文化は大きな変革を遂げていますl。いつの間にか私たちの生活に必要不可欠なものとなったスマートフォン。
私たちが無意識のうちに当たり前と感じているスマートフォン写真の使用例に焦点を当て、私たちの視点や認識にどのような変化をもたらしたのかを探ります。
カジュアルで多様な被写体の撮影
以前は特別なイベントでのみ使われていたカメラが、スマートフォンでは日常生活に浸透。食事やトレーニングの進捗など、幅広い被写体が記録されています。これまでは注目されなかったシーンが写真の中に収められ、人々の視点がより広がったのではないでしょうか。フィルムでしか写真が撮れなかった時代には、高価なフィルムを美味しい夕飯や可愛いペットの写真の撮影に使うとは思えなかったでしょう。フィルムで日常写真を撮ることは、今日的な感覚とも考えらえますね。

Image by ハル
自己表現としてのセルフィー
セルフィーはスマートフォン写真の特徴的な要素であり、個々の自己表現手段としての役割が大きくなりました。人々は自分自身を撮影し、その瞬間を共有することで、より個性的なコミュニケーションが可能になりました。しかし、ビジュアル・リテラシー学の研究ジャーナルによると、オーストラリア人を対象とした研究において、被験者となったスマートフォンユーザーのうち、セルフィーカメラ機能を使用するユーザーは約14%しかおらず、ナルシストとして見られたくないとの認識が強いのではないかという考察も述べられています。
垂直な構図の増加
スマートフォンの垂直なデザインや〈Instagram〉、〈Snapchat〉などのプラットフォームとなるアプリの登場で、縦向きの写真が増加。”デフォルト”が縦写真なのか横写真なのか、わからなくなる未来はそう遠くないかもしれません。
情報収集の仕方が変化
美学的なインスピレーションを得る媒体が、〈Instagram〉をはじめとするソーシャルメディアに移行しました。特に若い世代を中心に、写真を撮る被写体や方法についてソーシャルメディアを通した視覚的な学習を行っています。中央に配置する構図は、その顕著な例として上がれるでしょう。

Image by Shimakou
テクノロジーの生活様式の相関関係
これらの傾向は、技術が私たちの視点やコミュニケーションのあり方に与える影響を示しています。写真は単なる記録手段だけでなく、無意識のうちに視覚的な表現の一環として使用されています。どのようにカメラや写真を使用されているか、日常の最も身近にあるからこそ、時には社会に対する意識や影響を考慮する必要があります。それによって、私たちの日常や文化をより良く理解し、共有できるでしょう。
Cover Image by Yusei