MAGAZINE
MAGAZINE
MAGAZINE

Cover photo by むめい
写真を愛するクリエイターたちが語る、カメラとそのストーリー。「愛機」という存在には、それぞれの人生観や価値観が映し出されます。今回の連載では、〈SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art〉を愛用するむめいさんが登場。
レンズを構えた先で、背景がふんわりと溶けていく。135mmという焦点距離とF1.8の明るさが生み出すその描写は、純正レンズと比較する必要を感じないほど、むめいさんを満足させてきました。
中古なら10万円前後で見つけられることもある一本。人物との間合いを保ちながら背景を美しく整理し、撮った相手にも喜んでもらえる。さらに、写真が人から評価されるきっかけにもなったという〈SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art〉への愛に迫ります。
〈SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art〉は、フルサイズ対応の大口径望遠単焦点レンズです。レンズ構成は10群13枚。開放F1.8の明るさと9枚羽根の円形絞りを備え、135mmならではの圧縮感と大きなボケを生かした描写を楽しめます。最短撮影距離は87.5cmです。
〈SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art〉を構えたとき、まず惹かれるのは、ファインダーの向こうで背景がふんわりと溶けていく感覚です。
135mmという焦点距離と浅い被写界深度から生まれるボケは、一度使ったことがある人ならきっと共感してもらえると思います。主役だけを静かに浮かび上がらせ、周囲の情報をやわらかく整理してくれる。その描写を見ていると、純正レンズと比べる必要を感じないほどの満足感があります。

Photo by むめい
10群13枚の光学設計、F1.8の明るさ、9枚羽根の円形絞り。それらが重なることで生まれるボケは、正直、このクラスでは反則級だと感じています。
もともとは70-200mmのズームレンズを使っていました。ただ、当時の撮影ではズームであることの優先度がそれほど高くなく、振り返ってみると135mm付近をよく使っていることに気づきました。
それなら一度、望遠の大口径単焦点を試してみたい。そう考えて手にしたのが、このレンズです。

Photo by むめい
単焦点には、ズームのような便利さはありません。けれど、焦点距離が決まっているからこそ、被写体との距離や背景の重なりを自分の足で探すようになります。135mmで見える範囲に意識を集中させることで、人物をどう浮かび上がらせたいのか、以前よりも明確に考えるようになりました。
135mmを開放にして人物へ寄り、背景を大きくぼかす。そうした写真は、一部のカメラ界隈では「よくある写真」と言われることもあります。
それでも、私が大切にしたいのは、撮らせてもらった相手がどう感じるかです。実際にいちばん喜んでもらえるのは、いつもこの135mmで撮った一枚だったりします。

Photo by むめい
最短撮影距離は87.5cmと、被写体へ近づくには少し距離が必要です。ただ、私の撮影では極端に寄ることはほとんどありません。人との自然な間合いを保ちながら、背景を整理して主役を引き立てる。その距離感が、人物を撮る自分のスタイルにちょうど合っています。
中古市場では、10万円前後で見つけられることがあります。価格だけでレンズの価値を決めることはできませんが、この描写と撮影体験をその価格帯で得られることには、驚かされます。
高価なレンズでなければ撮れない写真がある一方で、自分の撮り方と噛み合う一本に出会えれば、価格以上に大きな変化をもたらしてくれる。このレンズは、まさにそんな存在でした。

Photo by むめい
カメラを持つ人なら、みんな一度は試してみてもいいのではないか。そう思ってしまうほど、私にとってコストパフォーマンスの高いレンズです。
このレンズを手にしてから、写真審査サイト〈1X〉で作品が評価されるなど、少しずつ人から写真を見てもらい、認めてもらえる機会が増えていきました。
もちろん、レンズを替えただけで写真が上達するわけではありません。ただ、135mmの描写に出会ったことで、被写体との距離や背景の重なりをこれまで以上に意識し、自分が残したい一枚をじっくり考えるようになりました。
開放で人物を撮り、背景を大きくぼかす。それだけなら「よくある写真」かもしれません。けれど、誰をどんな距離で見つめ、どの光や背景を選ぶか。その積み重ねに、撮る人らしさが宿るのだと思います。
〈SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art〉は、背景を美しくぼかすだけでなく、自分の視点に気づかせてくれた一本です。これからも、人との心地よい距離を保ちながら、「よくある写真」を自分らしい一枚にしていきたいと思います。

むめい
むめいです。神奈川でストリートスナップを撮影したり、出張撮影依頼を受けています。
cizucu:むめい
Instagram:@muna_to_mumei

120 マガジン
愛機との出会いや思い出、忘れられないエピソードをクリエイターが自由に綴る連載企画。愛機を選んだ理由や使い続ける魅力など、カメラ好きなら思わず共感する物語をお届けします。